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【天秤印】横浜弁護士雑記

横浜で弁護士をしている元裁判官が、日々感じたことなどを書いています。

東南アジア地域進出のための知的財産基礎知識

やれやれ、まだまだ、書いていなかったことがたまっていますが。

2月25日(月)は、広域関東圏知的財産戦略本部と、横浜市特許庁が主催したセミナー、東南アジア地域進出のための知的財産基礎知識を聞きに行ってきました。

特に、横浜の地元で行われたセミナーでもあり、講師の吉田芳春弁理士も、日本弁理士会関東支部支部長という立場の方だったため、「地元横浜の企業に合った知的財産の話を聞けるのでは?」と思い、参加してきました。

いや、のっけから先制パンチをもらってしまいましたね。

吉田先生は、外国の特許のクレームと比べ、日本の特許のクレームが「非常に厳格」で、「特許の範囲を狭く」しており、諸外国に比べ不利になってしまわれることを嘆いていました。

う~ん、耳が痛い。

いえ、「裁判所のせい」というわけではないでしょうし、私自身、裁判所にいたとき知的財産権を扱わなかったので、そういう意味では関係ないのですが。

ただ、日本の特許庁も裁判所も、やはり、「働かざる者食うべからず」というか、実際に発明の根幹をなす部分については、先行発明の権利者が利益を得ることはもちろんであるものの、それを不用意に広い形で特許にして、後発の発明者から利益を奪うことは相当ではない、という考えを持っていると、裁判所の研修で聞いたことがあったように思ったためです。

たしか、そういった理由でずいぶん前にあいまいな特許の無効が争われるケースが多くなり、それ以降、特許の審査自体が相当厳しくなったという話だった気がします。

吉田先生は、①特許は申請から認可まで時間がかかるため、その間実用新案も並行して申し立てておくことが権利の保護に役立つこと、②さらに、意匠権についても複数の意匠を登録しておくことで、さらに固い権利利益にできること、③外国の特許を取得する場合には、国によっては他国の特許等を尊重する制度があることもあるので、パリ条約や特許審査ハイウェイなども利用して、認可にかかる時間を早くすることの大切さ等を語られるとともに、各国の知的財産制度の特色について説明してくださいました。

今回のセミナーは、「知的財産を取ることの有効性」を知っている企業を相手に、「海外での知的財産の取り方」を説明することを主眼としたものでした。

先の日本知的財産仲裁センターのシンポジウムでは、「知的財産により外国から日本に利益を移す」ことが語られていました。

しかし、話の内容が、日本全体、あるいは大企業を念頭に置いたところがあったため、はたして大企業とまでいえない企業であっても同じ戦略が可能なことなのか、中小企業にとっても知的財産の取得は費用をかけてまですべきことなのかという点について、いまひとつわからないところを残しました。

地元の多くの企業にとって、知的財産を活用することで現実にどういう利益があるのか、引き続き探ってみたいなと思っています。

今度、横浜市の担当の方などに、弁護士会の融資でお話を聞くことができそうなので、その折にでもうかがうことができるのではないかと、期待しています。