【天秤印】横浜弁護士雑記

横浜で弁護士をしている元裁判官が、日々感じたことなどを書いています。

「平成24年度 KAST終了プロジェクト報告会」

3月5日は、財団法人神奈川技術アカデミー(略称:KAST)の、「平成24年度 KAST終了プロジェクト報告会」を見てきました。 平成24年度中小企業シンポジウムで講師を務めてくださった安井先生にKASTからセミナー講師の依頼があり、それを契機に横浜弁護士会の商工部会の先生との間で、「あそこはベンチャーにかかわりがあるのではないか」という話が出たため、どのような団体なのか足を運んでみたものです。 KSATは、税金を財源とした助成金等をもとに、それを有望な研究に期間を区切って支出して、事業化に結び付けていく、「戦略的研究シーズ育成事業」というものを行っており、同日行われたものも、そのうちで期間が終了する研究についての成果発表だったようです。 伺ったお話の一つは、「人の細胞膜と同じ2重脂質膜」を作り、そこに分子レベルのセンサーとして働く「膜タンパク」を埋め込むことで、生物が持つものと同じセンサーを人工的に「簡易・大量」に作り出し、①匂い等の各種検査の機器に使用したり、②人の細胞膜に薬がどう浸透するかという薬効の実験に利用したり、あるいは③コカイン等の麻薬(あれ?理系の話だったのに、いつのまにか法曹の話に?)やインフルエンザ感染の検知キットに利用できるというお話でした。 もう一つは、「光触媒」にかかわるもので、光触媒を住宅建材や空気清浄器のみならず、土壌汚染の浄化や、農業(溶液栽培)に利用する試みを紹介していました。 「ベンチャー」というよりは、「産学連携」の一つなのだろうと思います。行われているプロジェクトの中には、外国の企業と提携して事業化を図ったり、外国の研究者とネットワークを作って技術交換をしているものもあるようだったので、知的財産権がどうなっているのか、ライセンス契約がどうなっているのか、つい気になってしまいました。 知的財産権については、職務発明特許法35条)として財団が権利を持つような話を、休憩時間に近くの方からうかがいました。確かに個々の研究者が知的財産を取得するだけの費用や手間をなかなかかけられないところからすると、もっともには思われます。ただ、いわゆる大企業と異なり、国際特許を含めて戦略として知的財産を考える部門がどうなっているのかは、わからないところが残りました。もちろん、KAST自身が事業化まで行うわけではないので、そこは実際に事業化に携わった企業が関わるのかもしれませんね。 久しぶりに理系の話を伺うことができ、いい気晴らしになりました。また、実際に知的財産が問題となるこういう話を聞いていると、「特許どうなっているのかな・・・」「自分だったらどうするかな・・・」などといろいろと考えて、ついつい楽しんでしまいますね。気分はキャノン特許部隊というような感じです。 ただ、中小企業シンポジウムの題材をこうしたところから探すのは難しいようには思えました。「光触媒と法律」とか(笑)。ちょっと何をやればいいのか想像もつきませんし。