【天秤印】春日井弁護士雑記(旧名古屋・横浜弁護士雑記)

現在春日井市に勤めている元裁判官現弁護士が、日々感じたことなどを書いています。

かながわのソーシャルビジネス・NPO

3月16日(土)は、「神奈川コラボレーションフォーラム2013」に参加してきました。 あいかわらず、中小企業シンポジウムのネタ探しですが(^^;)。 とはいえ、思っていた以上に、面白いお話を伺えました(^^)。 まず、基調講演では、一般社団法人RCF復興支援チームの藤沢さんのお話を伺うことが出来ました。 震災後その復興について、民間のNPOと行政との間のコンサルティングをしていらっしゃる方です。 その方が復興に携わって感じた事は、まず、地域住民の意見自体を統一したり、調整したりすることが必要であるが、行政はそこまではできない(パンクしてしまっている)ため、NPOがそうしたところを行うこと(コミュニティづくり)が求められているという話でした。 また、企業にも、単にお金を出すCSRではなく、企業自身が持っている資源を使って課題解決を打ち出すCSV(Creating Shared Value)が求められているという話もされていました。 他方で、お話を聞いていて個人的に気になったのは、「透明性」です。 先日も、このような記事がネットに掲載されたところですが、NPOが行政に代わって何かを行う場合には、当然、行政に対して求められた責任が今度はNPOに対しても求められることになってくると思います。 そのこととの関係では、きちんと資料・報告書を残し、透明性を確保していくことが必要でしょうし、NPO活動の効果測定の方法も必要でしょうし、その前提として、「当初の見込みが相当なものであったか」も検証されることにつながっていく気がします。 こうしたことをあまり言って、NPOをやられる方の「やる気」をくじくつもりはないのですが、でも、NPOにも責任が求められるということは、確かだと思います。 そのほか、藤沢さんのお話を前提としても、従来のコミュニティ=町内会だけでは、町内会に出てこられない方々の意見を拾い上げることが難しい、という意味では、その具体的な方法をどうするかが課題となっていくように感じました。 その後は、各分科会に分かれてのパネルディスカッションになりました。 分科会B(「本業を通じて企業が挑戦する社会問題解決」)には、つい先日お話を伺った石橋社長もいらっしゃったのですが。 今回は、新しい方々のお話を伺おうということで、分科会C「相互に助け合う地域コミュニティ」に参加してきました。 この分科会を選んだのは、先日「家デイ」さんにお話を伺いに行った際に、参加者の一人が「この近くに『わくわく』さんがあるんですよね」と言われていたのを記憶に残していたので、 NPO法人ワーカーズわくわくの理事長中野しず代さんのお話を聞いてみたいと思ったからです。 とはいえ、それ以外のお二方のお話からも、それぞれいろいろなことを考えるきっかけを与えて頂きました。 NPO法人ワーカーズわくわくは、もとは地域の主婦の方々の助け合い等から始まり、最近は介護事業もされている団体なのですが、 理事長の中野さんは、なんというか・・・・ 「人間としての力の『桁』がちょっと凄いかもしれない」という印象を受ける方でしたね(^^;)。 とにかく、とてもポジティブに物を考え、「人」というものにものすごく期待をもって話をし、それによって周りの人を巻き込み、動かしていくという方です。 わくわくさんは、介護関係の認可も受けていらっしゃるということだったので、財政状況などをちょっと伺ったときも、全然大丈夫な雰囲気を受けました。 ホームページを見て納得。 介護保険法ができる平成9年より前から活動しているわけですから、介護保険法ができたところでその前より悪くなるはずもないですね^^; 介護保険等の行政をあてにしたわけではなく、地域の必要に応じて立ち上げ、長年続いてきたことが、自信・精神的な「強み」になっているなあ、という気がしました。 次のNPO法人ぐらす・かわさきの田代美香さんは、 「飲食店をやってみたい」という方のために、「1日シェフ」を体験できるアンテナショップ「メサ・グランデ」をはじめられたことなどを話していただきました いいですねこういうの、これから必要だと思います。 定年を迎えたりして「飲食店やってみたい」という人は結構いると思いますが、やっぱり実際に体験してみると、ぜんぜん違うところはあると思いますから。 それに、「店までやるのはちょっと。でもたまには・・・」という方にも、ぴったりです。 そして、最後は、「多文化まちづくり工房」の理事・事務局長の早川秀樹さん。 外国の方も多くいらっしゃる「県営いちょう団地」で、日本語教室や、放課後学習、季節のイベント等を行っている方です。 日本には、多くの外国の方がいらっしゃっており、すでにそうした外国の方がいなければなかなか国が成り立たなくなっているところもあると思いますが、外国の方との関係ではつい先日、このような痛ましい事件が起こってしまったこともあり、外国の方々が悩みを話したり、相談できる場、そして日本の人と仕事外で話せる場というのは、これからの時代求められていくのではないかと思われます。 もっとも、「有料」は無理だといわれていたので、運営はいろいろと大変なのでしょうが・・・。 ※ なお、人事労務の話が混じりますが(スミマセン)、「外国人技能実習生」は、基本的には「労働者」に当たり、労働法規の適用を受けることが、ほぼ裁判所の判断で確立しています。受け入れておられる方や受け入れを検討されている方がいらっしゃいましたら、ご注意ください。 う~ん、これだけ色々な人が、地域のニーズを拾ってチャレンジしているって、すごいなと改めて感じました。 弁護士もがんばっていきたいと思います(笑)。