【天秤印】横浜弁護士雑記

横浜で弁護士をしている元裁判官が、日々感じたことなどを書いています。

「心身の健康はメンタルヘルス対策から」:保健師の視点

昨日21日は、仕事が終わってから、産業保健推進センターメンタルヘルス対策支援センター保健師柳田勝江先生の「心身の健康はメンタルヘルス対策から」というお話を伺ってきました。 たまたま目に留まった工業会主催のイベントでしたが、「保健師」のお話ということで、法律家とはまた違った視点・知識が得られるのではないかということと、2月10日にブログに書かせて頂いた産業保健法務研究研修センターのお話の中で、精神疾患に対する多様な職種間連携の重要性が印象に残っていたことから、参加したものです。 柳田先生のお話のなかで特に興味をひかれたのは、「心の健康づくり計画」の話でした(厚生労働省の「労働者の心の健康の保持増進のための指針(平成18年3月31日基発0331001号)」に定められている方策の一つです。)。 具体的な策定例事例集などもあるようです。 この指針の中では、メンタルヘルスケア「従業員自身のセルフケア」「ラインによるケア」「事業場内産業スタッフ等によるケア」「事業外資源によるケア」の4つに分けて、それぞれケアを行うことの重要性が説明されています。たしかに、セルフケア・ラインケアだけでは「職場の人間関係」を相談すること自体難しくなりますから、それ以外のケアが必要ということは、よくわかります。そして、できれば、相談する従業員にとって、すべて職場に筒抜けというわけではなく、一定程度の守秘義務も保証されるようなケアがあると、より効果的なのかなと感じました(ここは一部私見です。)。 裁判所での経験からすると、仕事の中で精神疾患に罹患する人というと、一昔前は普通の従業員よりも、管理職的な立場や専門職的な立場の人に多かったように思われ、そうした人のメンタルヘルスを考えると、なかなかに「ラインケア」だけではうまくいかないように思います。もっとも、現在では、責任が管理職からさらに個々の従業員に渡されている会社もあると思いますので、普通の従業員でもメンタルヘルスのリスクはあるのでしょう。 この指針は、法律上の義務を伴うものではありませんが、行政指導の根拠となり得るもののようですし(労働安全形成法70条の2第2項)、実際、こうした取り組みが可能であり、かつ、それにとって精神疾患を防ぐことができるのであれば、それにこしたことはないと思います。 またセミナーの中ではストレスを緩和するものとして「何でも相談できる人」の効果が大きいということが、アメリカのモデルで示されたことが紹介されていましたが、そうしたことも、上記のような複数メンタルヘルスケアが効果があることにつながってくると思います。職場における対策では、「何でも相談できる」とまでは難しいかもしれませんが、そうした緩和要因がたくさんあったほうがよいと思いますので。 他方で、あまりコストをかけずにこうした方法を行うことが可能かどうか、また、その幹部職員や経営者にあまり負担がかからない、あるいは幹部職員や経営者の負担も軽減できる形で行うことが可能かどうかは、さらに考えていかなければいけないのかもしれないと感じました。 「弁護士の顧問」(10月11日に少し触れました)というものが昔から持っている役割の一つが、この「相談できる」という点だったのかもしれませんね。 そのほか、新型うつ病のお話や、相談に乗る時の注意点など、いろいろな話を伺うことが出来ました。 セミナーの後は懇親会がありましたが、過去に簡単な相談をいただいた社長とお会いして実際にお話を伺うことが出来たり、以前別のところでお会いした方と再会してお話を伺うことが出来たりと、有意義な時間を過ごすことが出来ました。 さて、こうして情報を集め、自分を磨くことは怠りたくないのですが、他方で、仕事が切羽つまってきて、そちらにもっと時間を使わないといけない感じになってきましたね。労働法の改正についても、11月中に続きをもう一度書きたかったのですが、12月になるかもしれませんね。スケジューリング的に、調査や文献の読み込みを要するものは、ある程度平日に必要な文献を集めておかなければならないので、この土日に作成する文書のための文献を今日中に何とかしたいところですね。