【天秤印】春日井弁護士雑記(旧名古屋・横浜弁護士雑記)

現在春日井市に勤めている元裁判官現弁護士が、日々感じたことなどを書いています。

「高齢者・障がい者のための全国一斉電話相談」

 今日(もう昨日ですが)は、4月15日=『良い遺言の日』ということで、全国的に行われた「高齢者・障がい者のための全国一斉電話相談」に参加してきました。

  昨年度に比べても、かかってきた相談の電話は多かったと思いますし、遺言などに関心を持たれる方も増えてきているように感じます。 平成25年に法律の改正があったせいか、税金についての問い合わせも多く、弁護士としてお答えできることに限りがあったものもありました。

 一応、相続税についても、「知っておいたほうがよいこと」はあるので、書籍などを読んではいます。 とはいえ、相続税等の【税金】については、弁護士ではなく税理士の先生が専門家ですので、「大体どういった制度になっている」程度の答えはできても、「正確にどうか」あるいは、「どうしたら節税になるか」となると、弁護士がお答えすることは難しいですね。 手続や制度の仕組みは、国税局のホームページを見たり、税務署の電話相談などを利用された方がよいかと思います。

 とはいえ、さすがに、それぞれの人に応じた「節税」方法となると、詳しい資料をきちんと検討しないと判断できないと思うので、有料でないと税理士の先生も回答できないかもしれません。

  「では、弁護士は何ができるの?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。 ご本人の生前に弁護士ができることは、「ご本人がお亡くなりになってしまわれた後、相続人の方々の間で争いごとが極力起こらないよう、助言と準備を行うこと」になります。

  良かれと思って相続税対策のために行った贈与や遺言が、かえって相続人の方々の争いの引き金になってしまうことも有ります。 ご本人がその場にいらっしゃって頂ければ、ご家族の間に入って仲を取り持つことができるかもしれませんが、ご本人がお亡くなりになられてしまうとそうしたことができません。 相続人のためを思って書いた遺言も、「一方通行のお手紙」なので、わからないところがあってもご本人にうかがうことができません。

  かかってきたお電話は、どれも、「残される方々」のことを考えたものばかりでした。 出来る範囲でのお答えはしたつもりですが、無料で行うことのできる、資料を見ないままの一般的な相談だと、どうしても「できること」に限界はあります。 残される方々にとって、「相続で争うこと=争族」は、とても負担になるものです。 弁護士のできることは、たぶん、「最後のお手紙に込められたお気持ちが、誤解されることなく相続人の方々に届くことのお手伝い」なのでしょうね。

  もし、お手元に少しなりとも財産が有り、それをきちんと残されることをお考えになるのであれば。 いささかの費用を使って弁護士を依頼することも、考えてもよいのかもしれませんね。

※ 平成27年8月2日ブログを移行した際に、改行が反映されず、読みにくいままとなってしまっていたものに、改行を入れなおしました。