【天秤印】横浜弁護士雑記

横浜で弁護士をしている元裁判官が、日々感じたことなどを書いています。

「日本経済の罠」(書評)

1 手に取ったわけ

日経ビジネス人文庫 日本経済の罠 増補版 | 政府刊行物 | 全国官報販売協同組合

 少し、少年や刑事の話で疲れてしまった事もあり、方向性を変えて、この本を読みました。

  かなり昔に、平積みにしてあったのを手に取って買った記憶がある本ですので、出版された2009年頃に買っていたと思います。どちらかというと苦手分野だった経済学について、「多少は知っておいた方がいいなあ」と思い、フリードマンの「資本主義と自由」、ガルブレイスの「不確実性の時代」、ドラッガーの「現代の経営」等を購入した際、「実際の日本の経済政策等を知る本はないかな?」と思い、一緒に購入しました。 

 当時一緒に購入した他の書籍は目を通したのですが、この本だけはいささかとっつきにくく、「積ん読」のままでした。このところ、ブログで取り上げたりしていた少年法の関係で、心が少し疲れてしまったこともあり、全く分野の違うこの本を手に取りました。

 この2~3年の間に、日経文庫の「金融政策の話」なども読み進めていたためか、今度は面白く読むことが出来ました。 

2 内容

 もともとは、2001年3月に日本経済新聞社から刊行された書籍を文庫版にしたもので、バブル崩壊後の日本経済を題材として、それについて①マクロ経済学的な「ケインズ経済学」の見地からなされていたと思われる政策提案と政策、そして②ミクロ経済学的な見地からなされていたと思われる政策提案と政策を検討したうえで、それぞれについて問題点を指摘し、当時の日本の不況が「不良債権」を企業や銀行が抱えていることを不安に思う投資家等の投資・消費の冷え込みが原因であるとして、それについての対策を提案し、そうした政策をとった場合にどうなるかをストーリー仕立てで説明しています(経済学の学説等については、本署に書かれている記載に従っているつもりですが、詳しいわけではありませんので誤解もあるかもしれません。)。

 この本を読んでいると、そのころから、現時点までの金融監督のあり方や、商法の改正等についても、「この本に書いてあるような目論見があったのかな」と思わされるところが散見され、自分の断片的な知識につながりが生じ、新しい興味がわいてきます。

 もちろん、それぞれの政策の背景に本当にそういった目論見があったのかどうか、また、当時の不況の原因が本当にこの本に書かれたようなものであったのかどうかは、素人である私には分かりません。でも、そうしたことに考えをめぐらせて、現時の経済政策等についても関心を持てるようになるという意味で、とても面白い本だと思います。 

3 経済学という苦手分野

 実のところ、「経済学」というのは、比較的苦手な分野でした。

 というのも、あいまいで多面的なところもある「人間の活動」を対象にする文系の学問であるにもかかわらず、「数字」というこの上なく【かっちり】した答えを出してくるので、なんだか、理論と現実のかい離が激しいような、勉強しても現実に通用するところに行きつかない印象を受けていたためです。

 ただ、経営分析の本、金融政策の本、為替の本、労働経済についての本など、1冊1冊読んでいくと、部分部分は少しずつ理解が進む気がしています。

 そのうち、またアベノミクス等について書かれている最新の経済情勢についても、何か本を見繕ってみたいなと思いました。