これまでで、マイナンバーに「なりすまし」や「情報漏えい」などについての【大きな危険】まではないのではないかということを書いてきました。
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とはいえ、「個人番号カード」や「通知カード」を紛失したり、マイナンバー自体が漏えいしてしまったりした場合に、不安になることもあるでしょうし、絶対に害が生じないとまで言いうるものではありません。
そこで、そうした場合にどうするかを書いておきたいと思います。
1 個人番号カード(ICカード)を落とした(紛失した)
やること① カード利用の一時停止:マイナンバーコールセンターに電話
【個人番号カード】には、前にも書いた通りICチップがついていますので、念のため、カードの利用を一時停止してもらった方がよいでしょう。
やること②:警察への遺失物届提出
そして、警察に遺失物届を出しておかれるとよいと思います。住民基本台帳カードなどは、再発行のために警察が届出証明を出してくれていたと思いますので、【個人番号カード】でも同様の取り扱いをしてもらえる余地はあると思います。届け出ておいて無駄になるわけではありませんので。
やること③:市区町村長への届出
紛失した旨を、市町村長に届け出ておきましょう(マイナンバー法17条5項)
やること④:番号変更の申請
念のために個人番号の変更を市区町村に請求してもよいかもしれません(マイナンバー法7条2項)。ただ、変更を認めるかどうかは市区町村の判断によることとに注意してください(「情報の漏えい」に当たるとは言いにくいため、認めてもらえないかもしれません。あくまで念のためになります。)
やること⑤:再発行
その後、再発行を希望する場合には、カードの再発行をお願いしてもよいでしょう。ただ、費用が掛かることに注意してください。
もっとも、再発行をしないままだと、個人番号の提示を求められたときに個人番号付きの住民票を取得することになりますので、より費用が掛かる可能性もあります。
やってもよいこと⑥:信用情報機関へ、そのマイナンバーカードを紛失したことを届け出ること。
下の※印を参照してください。
2 通知カードを落としてしまった。
ICチップはないので、上記1①に相当する「やること」はないですね。
やること①:市町村長への届出
紛失した旨を、市町村長に届け出ておきましょう(マイナンバー法7条6項)
やること②:警察への遺失物届提出
上記1と同じですが、警察に届出ておいてはどうかと思います。通知カードの再発行の際に、警察が届出証明を発行してくれるかはわかりませんが、届け出ておいて無駄になるわけではありませんので。
やること③:番号変更の申請
念のために個人番号の変更を市区町村に申し出てみてもよいかもしれません。変更を認めるかどうかは市区町村の判断によることとは、上記1で触れた通りです。
やること④:再発行
再発行を希望する場合には、カードの再発行をお願いしてもよいでしょう。ただ、費用が掛かることに注意してください。
3 カードは落としていないが、マイナンバーを他人に知られた
マイナンバーは、「自己と同一の世帯に属する者」(法15条、20条)や、雇用主、代理人等に知られることは、ある程度想定されています。ですので、「知られた」だけで何かが起きるわけでもなければ、何かできるわけでもありません。
ただ、「不正に利用される恐れ」が具体的に認められる場合には、番号の変更が認められうるかもしれませんので、市区町村長に申し出てみてもよいでしょう(上記1④参照)。
※ 2018/1/5加筆 『本人申告制度』並びに、裁判等について
やけにこの記事のアクセスが多くなっていたため、こうした事例が多いのかと思って、調べなおしてみました。
すると、【個人信用情報機関が設けている『本人申告制度』を利用してもよいのではないか】と、国民生活センターのホームページに記載があることを見つけましたので、加筆しておきます。
悪用が心配される健康保険証や運転免許証の紛失(相談事例と解決結果)_国民生活センター
なお、この『本人申告制度』というのは、その身分証明書が悪用されて「お金を借りられてしまう」ことを少しでも防ぐために、銀行やクレジットカード会社・貸金業者がお金を人に貸すときに、照会を行うことになっている「信用情報機関」に、身分証明書を紛失した旨などを届けておけるもののようです。
各信用情報機関のサイトは、以下のもののようです。
<消費者金融系>
<クレジットカード系>
<銀行系>
また、裁判例などでこうしたことが端的にわかりやすく争われた例がないかどうか見てみたところ、裁判所のHPで公開はされていませんが、ウエストロー・ジャパン(判例の有料検索システムです。)に収録されていた、平成28年9月16日東京地裁判決でまさに「悪用された」ことを裁判で争い、勝つことができた例がありました。
ただ、この事例も、上記のようなやるべきことをすべてやっていたことや、他の諸事情を証拠で証明できたという、恵まれた事例のようですので、訴訟の見込みについて、一概にいうことはできないのですが…。