【天秤印】横浜弁護士雑記

横浜で弁護士をしている元裁判官が、日々感じたことなどを書いています。

「改正個人情報保護法Q&Aと誰でもつくれる規程集」【書評】

 5月30日まで行っていた,改正個人情報保護法にかかる仕事との関係で,個人情報保護委員会から公表されているガイドライン(「通則編」及び「第三者提供時の確認・記録義務編」),のほか,「金融分野における個人情報保護に関するガイドライン」,「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」「Q&A」などには一通り検討し,また作業に必要な範囲で,法律,施行令,施行規則,そして宇賀克也先生の書かれた逐条解説などに目を通していましたが,それ以前に購入していたこの本をまだ目を通していなかったので,この機会に通勤読書で目を通しておきました。

www.daiichihoki.co.jp

 正直,私自身既にガイドライン等に目を通しているので,もっと早く目を通せると思っていましたが,EUデータ保護指令等と関わる立法経緯や,私がガイドラインを読んでいなかった匿名加工情報,外国第三者への提供に係る部分の記載は手強く,ちょっと時間を取ってしまいました。
 「規程」等は巻末に付録として付いているのですが,それぞれの条項等に細かな解説があるというほどではありませんので,規程等を作るためにこの本1冊で足りるかは,何とも言えません。もちろん,ガイドライン等と併用して,規程を考える際の「たたき台」としては,悪くはないと思います。なお,巻末の規程はそれなりの規模の会社向けと思われ,小規模事業者等には,少し詳しすぎるだろうと思います。

 弁護士が,改正個人情報保護法に係る業務を請け負ったときに,この本で何か対応できるかというと,それは難しいと思います。ガイドラインの内容も,それほど詳しく引用されているわけではありません。弁護士が業務として請け負った場合は,上記の各ガイドライン等と,宇賀克也先生の逐条解説の方が,優先順位が高いと思います。
 ただ,ガイドラインや,宇賀先生の逐条解説は,何分,取り扱っている事項が広範かつ詳細であるため,全体像を把握するには不向きなところもあります。
 そうした意味では,いずれ個人情報に関わる相談などがされたときに「どんなところに問題があるのか」「どういった資料を見ればよいのか」の【気づき】を持てるようにしておく,そのための書籍としては,悪くないと思いました。

 書式集も付いているという点では,第2東京弁護士会の書籍も,同じだったと思いますが,そちらはまだ目を通せていませんね…。書式集の書きぶりを比べてみると、いろいろと面白いかもしれないと思っていますが,改正個人情報保護法だけに時間を割くわけにもいきませんので,そちらの本はまだ先になると思います。

 ほかに,改正個人情報保護法の関係では,水町先生の本や,一問一答なども目に付きますが,申し訳ないながら,そうした書籍までは購入していませんね…。

 所属する委員会や研究会で報告・調査を頼まれている事項もありますし,インターネット法研究会との関係では,匿名加工情報と外国第三者への提供についてのガイドラインも関わってくるので,またそれらにも目を通すつもりです。
 でも,まだ少し先になってしまうでしょうか…。