【天秤印】春日井弁護士雑記(旧名古屋・横浜弁護士雑記)

現在春日井市に勤めている元裁判官現弁護士が、日々感じたことなどを書いています。

里親大会「大切なあなただから」に参加して

 10月21日は,第30回神奈川県里親大会「大切なあなただから」に行ってきました。
 「里親大会」なので,本来は「里親」として登録している方向けなのだと思いますが,一般参加もできます。私自身は,横須賀市の児童福祉審議会に所属していたときにその登録に少し関わったことがあったこともあり(児童福祉法6条の4),関心もったために,参加してみることにしました。 

1 里親って?

 「里親」は,児童相談所から委託を受けて、児童相談所が保護した子どもの養育をして下さる方々のことです(児童福祉法27条1項3号)。普通の里親は,いわゆる「養子」のように法律上「子どもの親族」になるわけではありません。
 とはいえ,全ての子どもを施設で見ることには限界があることや,施設では職員の交代があるなど特定の大人が【子どもをずっと見ていく】ことが難しいこともあり得るため,子どもが養親家庭とある程度継続して関係を築ける【里親】は非常に大切な制度の一つです。
     
 他方で,里親として担当できる「子ども」の人数にも限界があるため,多様な子どもに対応できる経験の蓄積という点では施設が勝ることもあり得ますし,なかなか「相性」的に上手くいかないときに「里親を変える」ことが難しい(できるのですが,そうすると施設において「担当を変える」以上に子どもの心に傷になってしまう恐れがあることや,里親家庭以外の第三者が見ていないため,そうした対応が必要なことに気がつきにくいこと)こと,そして,実親の理解を得ることが難しいことがあること(施設等と異なり,実親に毅然と対応することは,なかなか難しいと思われますので…)等の難点もあるように,個人的には感じています。

 2 大会の内容

  大会の内容としては,①まず児童虐待にあった子どもが立ち直っていく様を描いた「わたし,生きてていいのかな」という映画の上映があり,②その制作者の方々から話を聞いたあとに,③実際に里親として長年活動してこられた方かたお話を伺う,という内容でした。
 映画は,少し見ることがつらく感じました。やはり,私自身子どもシェルターの子ども担当弁護士などをしたこともありましたので,「なかなかそんな風に上手くはいかないんじゃないか…」というような感情がこみ上げたり,他方でフィクションとはいえ子どもや親の言葉が食い込んでくることもありますので…。でも,とてもよい映画だと思います。
 制作者のお話によると,いま,続編(映画の主人公の子どもが,子ども食堂でボランティアをしていく話のようです)を作成されているとのことで,クラウドファウンディングで資金も募っておられるようです。ただ,そうした話以上に,制作者の方がこうした映画を作ることになった切っ掛けが,子どもシェルター「カリヨン」からつながった「人の繋がり」にあるということは,驚きましたし,すごいな,と思いました。
 里親経験者のお話は,実際の経験者しか語れない言葉が心に響くもので、正直,もっといろいろなことを伺ってみたいと思いました。小グループでのカンファレンスや検討等もあっても良いのではないかという印象も持ちましたが,そうしたことは各里親会で里親サロンなどで行われているようです(たしかに、それが本来の形ですね。)。
 会場の外では,各里親会の紹介掲示もあり,興味深く読ませて頂きました。

3 参加してみて

  やはり,こうした会に参加したからと行って,【里親の難しさ】などは,わかるものではないのだろうな…,と思います。

 しかし、実際に子どもを見ておられる方々の、「人のつながり」の一端を垣間見れたことは、うれしかったですね。
 今回様々な里親会の紹介や広報誌を見ることもできましたので,その【人の繋がり】をたどっていったり,そこで知った他のイベントに参加することはできますし,そうしていくと自分の中で、自分なりにもっとわかることが出てくるのだろうな…。

 そんなことを思っています。

※ 12/26 映画続編のクラウドファウンディングは,目標額を達成したようですね。

私も,5000円程度のコース(DVDが貰える物)を申し込ませて頂いています。

…仕事があると見に行けるかはわかりませんし,自分の名前が出るかどうかにあまり関心はなかったものですから…。すみません…。