【天秤印】名古屋・横浜弁護士雑記

現在名古屋市に勤めている元裁判官が、日々感じたことなどを書いています。

「地方自治法概説」【書評】

1 あけまして

 あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

 この間,他職種との泊まり込みでの勉強会に出たり,事務所の整理,事件の整理,行政委員や弁護士会委員の最後のお返し等を行っていて,なかなか読み進みませんでしたが…。
 やっと,この本を読み終わりました。本当は先週の金曜日までに読み終わりたかったのですが…。

www.yuhikaku.co.jp

 児童相談所の仕事に従事するからと言って,地方自治法の知識が必要になるわけではありません。ただ,この法律は,いわば地方自治体」の「外枠」を決めている法律ですので,自治体の政策を理解したり,自治体にできることの限界を知るためには,必要になると思っています。
 児童福祉の分野でも,補助金の話や指定管理者の話,広域連携の話などは,地方自治法にかかわっていますし,自治体の財務などもその枠組みは地方自治法に規定があります。
 自治体の行政委員を複数勤めていると,自治体の権限,働きを正確に理解しないと,判断が難しいものもあります。また,弁護士会の委員をしていても,そうしたことに造詣の深い先生の話を伺うと,自分の力がそこまでに至っていないことに少し恥ずかしさを感じたこともあります(通常の裁判では、あまり使う法律ではありませんので…)。
 行政委員の職を行うに当たり,必要な知識はその都度学んできたつもりですし、九州にいるときには九州行政判例研究会にも出席していたのですが,やはり,体系的な本を1冊読んでおきたいと思い(そして,今後はどうしても児童福祉分野の本が中心になるだろうとも思い),この機会に読んでおきました。

2 この本の特徴

 「第7版はしがき」を見ると,この本は,「2017年2月」時点での情報で書かれていますので,平成29年5月11日に成立した改正法についての記載は含まれていません。
 ただ,この改正については,まだ今後細かなところが決まっていくこともあるでしょうし,現時点では内容が固まっていない所もあると思いますので,最新版が出るのを待って読む機会を失うよりは,この版を読んで,改正法については必要があれば補えば良いかと思っています(「新版逐条解説地方自治法」は,最新の改正にも対応していたのですが,さすがに,そこまで地方自治法を参照することはない気がしますので…)。
 この本の特色としては,①文中に実際にあった過去の実例が豊富に引かれており,その実例も判例の引用にとどまらず,むしろ事案の経緯が詳しく書かれ,なぜ問題が生じたのかが理解しやすいということと,②特に「第9章 普通地方公共団体に対する国または都道府県の関与等」という,地方自治体への介入や紛争処理について,行政手続法,行政不服審査法と比較した記載がされていてわかりやすいこと、そして③改正前の経緯等も小さめの文字で書いてあるため、自然に現行法の趣旨を理解できることなどが,個人的には印象に残っています。

 通常の文字で現行法の解説が書かれ、小さな文字で改正経緯や実際の紛争例など主に「参考」のための記載が書かれていると思えますので、メリハリをつけて読むこともできます。

 逆に、小さな文字で書かれている箇所もそれなりにありますので、気になる方は本屋で手に取って確認をされてもよいかもしれません。
 本当は,この本を読んだ後に,「地方自治判例百選」等の事例に即した書籍を読むと,「縦」と「横」から問題を俯瞰することができて理解が深まると思いますが(そして買ってはあるのですが…),さすがに他にやらなければならないこともありますので,ちょっと地方自治法は一休みしようと思います(多分,読む前に,新しい版が出てしまいそうな気がしますね…)。

3 ぼやき?

 …予定(脳内妄想ともいうでしょうか…)では、この本の後、金曜日までに,『「三つの家」を活用した子ども虐待のアセスメントとプランニング』を読む予定でしたが,さすがに難しいでしょうね…(土日はまた泊まり込みで勉強会のようなものに行きますので…。今日の通勤読書で、20~30頁ほどは読みましたが、どこまで読めるでしょうね…)。また,関東弁護士連合会の関係での「電子公文書」のアンケートとレジュメ作りを先にしないといけないでしょうし…。
 以前の勉強会で話題になった「面会交流」についても,こうした事情から文献を集めての自分なりの勉強ができていません…。

 いろいろと、やりたいと思っていたことを、いざやってみると,思ったより時間がないものですね…。
 とはいえ,仕事以外のことについては,焦ってその場での答えを出すより時間をかけて納得のいく答えを考えたい,という立場ですので,面会交流については,また時間ができたときに調べて見ようと思っています。

 こうした法分野の体系書を通読することは、社会システムへの新しい理解をもたらしてくれますので、しんどいところもあるのですが、それでも楽しいですね。

※ 書籍へのリンクを張る場合には,極力出版社のホームページにリンクが張るようにしているのですが,今日,明石書店のホームページが何故か開けませんでしたので,紀伊国屋書店のホームページにリンクをしています。