【天秤印】春日井弁護士雑記(旧名古屋・横浜弁護士雑記)

現在春日井市に勤めている元裁判官現弁護士が、日々感じたことなどを書いています。

ROOKIES就職体験会を見学させていただいて

 今日は、「ROOKIES」の就職体験会を見学させていただきました。

児童養護施設等を出身の若者を、雇用と応援する職親の会|ROOKIES

 「ROOKIES」というのは、児童養護施設等を退所した後や、事情があって親の援助や保証を受けられない方々を応援してくださる団体です。

 今日の取り組みは、この団体に所属している各会社の方が、自分の会社の仕事についてお話しして下さるものでしたが、「体験」できるものが多かったこと、またいくつかの仕事については「自分たちの生活のどこに役立っているかが、改めてわかる」ものであったことなどに、団体の方々の工夫と熱意を感じました。

 ありがたいな、と思います。 

 子どもに関わるとき、いつか「巣立つ」時期が来ることを、どう扱ったらよいかは、個人的には悩みがつきないところです。

 「いずれ自立しなければならないから、その時のために準備をしなければならないよ」というのは、「間違っていません」。少年審判官をしていた時も、付添人をしていた時も、シェルターの子ども弁護士をしていた時も、そうしたことは、程度の差はあれ、触れてきたことも多かったように思います。

 やはり、経済的な理由や制度上の理由から、いずれ自立しなければならない時期が来てしまうことが明らかである以上は、それをわかっていながら告げずにいることが良いことだとも言い切れませんでしたので…。

 他方で、そうした現実を受け止めることが難しかったり、そうしたことが親子間の葛藤等の原因となってしまっている場合もありますので、ただ現実を告げればいいというものでもありません。まさに、そうした側面に着目することが、前回のブログでも書いた「居場所の取り組み」につながっているのだろうとも感じていました。

 

 子どもと接する場面において、こうしたこと―大人になっていくことを話した方がいいのかどうか、どう話していったらいいのか、もっと違う話し方をしていたら子どもの反応も変わったのか…、そんなことをいつも考えながら、少年審判官、付添人、子どもシェルターの弁護士をしてきました(以前、こちらのブログで少し書きました。)。

 そうした自分の歩いてきた先にあったのが、いまいる児童相談所なのだろう、と思っています。

 

 そんな悩みを持つ立場からすると、今日のような「深刻に考えなくても、まず気軽に参加・体験できる」イベントというのは、ありがたいな、と思います。

 それぞれの子どもが、すぐに壁を乗り越えることができるか、進む道を決められるかは、そう簡単ではないかもしれません。

 でも、いつか壁に直面した時に、ここで体験したことを思い出してくださる方も、いらっしゃるかもしれませんので…。