【天秤印】名古屋・横浜弁護士雑記

現在名古屋市に勤めている元裁判官が、日々感じたことなどを書いています。

事例解説 保育事故における注意義務と責任【書評】

 食物アレルギーばかりになっている」と2つ前のところで書きながら、1つ前の話もアレルギーの話になってしまいましたが…。
 前の連休で読み終わったこの本のことも少し。

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 古笛先生の本は「介護事故における注意義務と責任」(最近改訂が出ましたね)を、前の役所にいたころ読んでいましたが、たまたま書店でこの本を見かけ、類書をあまり見ない分野の本だったので、買っておいたものです。
 …とりあえず、買えなくなると嫌だなあと思うので、関心を持った本は買っておくのですが、読むまでに「積読」になってしまうことが多いですね…僕の場合…。

 買うときには、題名からもてっきり「保育園」「幼稚園」での事故について扱った本だと思っていました。それが中心であることに間違いはないのですが、著者である古笛先生は、「家」「学校」以外の事故について取り扱われたということで、「学童保育」や、「塾」「ボランティア」での事例も扱われています。
 以前読んだ、「未成年者・精神障碍者の監督者責任―Q&Aと事例」と比べると、当たり前ですが①保育園等での事故が中心となっていること(未成年者・精神障碍者監督責任―Q&Aと事例では、あまり保育園、幼稚園は扱われていなかった印象があります。)、そして、②保育園等での事故類型ごとに分けで書かれていること、③過失相殺についても、古笛先生の視点からの一定の見解が書かれていること、他方で④親権者と事業者との責任の割り振りなどは、「未成年者・障碍者の監督者責任―Q&Aと事例」の方が詳しいかなと感じられること、などが印象でしょうか?(いじめについての記載は、少し古いのかもしれません。平成22年初版の本ですので…)。

 ただ、この2冊の取り扱い分野については、最近の重要な複数の最高裁判例が今後の裁判所の判断にどのように影響してくるかが見定め難いところもあるので、これらの本に書かれていることそのまま受け取るだけではいけないのかな、と感じています。
 とはいえ、この分野は、交通事故などに比べると(公開される)裁判例の数自体が少ないので、こうした本を読んで、あとは自分で考えていくほかないのだろうと思います。

 保育園については、「Q&A保育所・幼稚園のための法律相談所」も、少し前に通読しましたね。こちらは、「事故」に限ったものではなく、また、「裁判」以外の事柄も広く含み、「開園の準備」「リスクコントロール」「人事労務」等についても広く触れられていることが特徴です。ただ、いずれも記載としては比較的あっさりしているので、他の書籍で補う必要があるところはあると思っています。
 学校関係では、「改訂 教職員のための学校の危機管理とクレーム対応」「事例解説教師対象暴力」「新しい学校法務の実践と理論」などは通読しましたね…。「積読」になったままの学校関係の本も、まだ二冊残っていますね…(一冊は、読まないうちに最近改訂版が出ました…。ううっ)。
 児童相談所の常勤弁護士、というのは、もちろん裁判対応が第一なのですが、それ以外にも何ができるかは、自分で探していかないといけないと思っています。また、裁判等できちんとプレゼンテーションをするためには、まず自分が理解していないと相手に伝えることはできない、とも思っています。
 そのため、プライベートでこうした関連分野の書籍にも目を通していますが…学校・保育園関係は少しお休みでしょうか。とりあえず10月17日までに読みたい本が一冊あるので…(あまりこれまで通読してこなかった分野の本なので、少してこずっていますね…。)。
 本当は、こうした本を読んだ後の振り返り、復習をもっとできると、もっと力になると思うのですが…。