【天秤印】名古屋・横浜弁護士雑記

現在名古屋市に勤めている元裁判官が、日々感じたことなどを書いています。

書評:事例解説 未成年後見実務(日本加除出版株式会社)

 すみません、しばらく更新は滞っていました。その間に読んだ本のことを、忘れないうちに少し。

事例解説 未成年後見実務 | 日本加除出版

 児童相談所の業務の中では、未成年後見人と関わることも多いので、未成年後見人の立場やできることについて、もう少し理解を進めるために、読んだ本です。

 他の組織や職種と「協働」するためには、できるかぎり、その相手のことを知って、できることを頼むようにしたいな、と思っていますので…(それが難しいことも多いのですが)。

 

 未成年後見人自体について書いた書籍というのは、これまであまりありませんでした。

 自分としては、未成年後見人は、「成年後見人」と多くの点で共通するため、成年後見人についての書籍を参照しながら、都度考えていたところもありました。弁護士をする中で、成年後見人と成年後見人には違いもあることが、わかってきましたが、それについて明確に書籍となったものを読んだことはありませんでした。

 

 この本は、そうした「成年後見人との違い」に特化して書かれているわけではありません。第一編で、未成年後見人について、親権者や里親、養子など、関連する事柄との関係について書いた後で、第2編で、様々な事例を挙げて、その場合の考え方について触れています。とはいえ、自分の疑問の答えに近づくことのできる記載もありました。

 

 弁護士等の第三者が未成年後見人になった場合に、保証人となることを避けた方が良い理由、未成年後見人と医療同意のことなどについて、他の本よりも詳しく書いてあるかな、と感じました。

 他方で、執筆された先生が東京の弁護士が中心であるためか、運用面で、「これは東京のことを書いているんじゃないかな?」と思わされた箇所もありました。

 同時期に読んだ、「未成年後見の実務 専門職後見人の立場から」よりも、自分の「知りたいこと」により近い事柄が書かれていたかな、と思います(戸籍制度等、細かな条文の整理という点では、「未成年後見の実務 専門職後見人の立場から」も面白かったのですが)。

 

 親御さんが亡くなられた場合など、選任される場合が法律上限られている「未成年後見」は、「成年後見」と比べると、事例は少なく、裁判所の判断が示されることも多くはないので、この2冊の本に書かれた内容でも、まだまだ結論が出てはいないのかな、と思う個所もあります。でも、そうした中でも、未成年後見実務を行うにあたり、参考になる本だろうと思います(一般の方向けとしては、どちらの本も難しいと思うのですが…。)。

 

※ 一身上のことでいろいろと悩んだこともあってブログの更新が滞っていました。「無理せずに続ける」ということを第一にしているブログなので、申し訳ありません。いろいろと心の整理もある程度つきましたので、また折を見て、可能な範囲で書いていこうと思います。