【天秤印】名古屋・横浜弁護士雑記

現在名古屋市に勤めている元裁判官が、日々感じたことなどを書いています。

【書評】リフレーミングの秘訣(日本評論社)

 う~ん、途中で読むのを投げ出してしまわなくてよかったな、と思う本です。たしか、家族療法の勉強会に参加した時、物販で購入した本だったと思います。

www.nippyo.co.jp

 この本では、はじめに①家族療法に関する古典的な考え方であるシステムアプローチの考え方が紹介され、その後、②P循環療法という筆者の考えが示され、その後③事例の紹介へと移っていきます。

 システムアプローチについて読むだけでも価値があります。「全体は部分に影響を与え、部分は全体に影響を与える」というのは、家族療法の書籍でよく目にした考えなのですが、実際にこの言葉を手帳か何かに書き留めておくだけでも、「家族」を見る時の見立てが非常に広がるのではないか、と思います。

 …実を言うと、次のP循環療法が個人的には少し苦手でした。僕は、色々な問題に自分なりに悩んで自分の答えを見つけ出したいなあ…と思って裁判所に行ってみた人間なので、「これが正しいんだ」という「見方」をいきなり受け入れてしまう、というのは抵抗がありましたし、「そんな簡単な話じゃないんじゃないかな」という思いもありました。

 しかし、その後の事例を読み進めていくと、概念についてなんとなく理解することと、実際の面接でそれを使いこなすことは全く異なることがよくわかりました。通常は、理屈を書いた箇所よりも、事例を書いた箇所の方が簡単で分かりやすいものですが、この本は逆でしたね…。

 事例を読むたびに、「どうしてここで(当然想定される)こうした質問をせずに、この質問を投げかけることができるのか」、「(書籍に書かれている)この質問で本当によいのか、(自分の頭に思い浮かんでいた)こういう質問をしていたらどうなっていただろうか」など、自分があまりにも軽く考えていたことを思い知らされました。 

 ただ、児童相談所、という、ある種の社会的役割を課せられている組織において使う手法としては、この本に書かれている方法は使い辛いところはあるかもしれない…とも思っています。

 とはいえ、家族療法についてももっと勉強してみたいな、と改めて思いました。