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【天秤印】横浜弁護士雑記

横浜で弁護士をしている元裁判官が、日々感じたことなどを書いています。

「勝って兜の緒をしめよ」:事件から考える予防法務

弁護士業務

 1年くらいかけていた事件-会社から依頼されていたもの-について, 当方の勝訴的な解決にて終了することができました。

 「勝って兜の緒を締めよ。」ということで,その最終報告書をいろいろと考えながら作成していましたが, 23時頃(昨日)完成させて,送付しました。 これで,一区切りつきましたね。 この事件も,依頼主である会社の確固たる意思と,協力がなければ,もっと難航していたかもしれません。

 そうした意味では,訴訟活動・紛争解決というのは,弁護士だけでできるものではなく,依頼者との共同作業だと思っています。 事件が終わってから,最終報告書を書きあげるまでの間に,様々なことを考えました。 『どうしたら,同じような紛争が起きないようにできるだろう。』 『どうしたら,今回起きたことを,会社の将来に役立てて貰えるだろう。』

 普通の人であれば,裁判のようなことは二度と無いことが多いでしょうから, 「今後のこと」まで書く必要はないのですが, 会社となると…。 考えてしまいますね。やっぱり。

 いろいろと考えすぎ,一時期,社内規定契約書の作成について, なにかしらの提案するかどうかを悩み, 恒例の「書籍大量購入」に踏み切りかけました。

  でも,11月23日(土曜日)に聞いた産業保健法務研究センターのセミナーで,我に返りましたね。 「会社の経営者は,忙しいので,短くポイントを押さえたプレゼンテーションでないと,聞いて貰えません」 ……確かに。

  これまでは,裁判官として,弁護士及びその背後にいる当事者向けに書面を書いてきたので, 「丁寧に」「わかりやすく」といったことを考えてきましたけれど, 実際一緒に仕事をしてみると, 会社の社長にとっては書類を読む時間も大きなロスになることがよく分かります。 (もっとも,当事務所は結構,書類を読んでもらっています…(汗))。 そこで,ある程度のところで見切りを付けることにしました。

  また,実際に社内規定や契約書案を作ってみようか…と具体的に考えたことで, これらのものも,訴訟と同じように, 相手の会社がこちらに「協力」をしてくれないと,いいものが作れないことが分かりました。 使う人である現場の社員が,その必要性と意味を知っていてこその契約書や社内規定なので, 現場からの話を聞かないままに弁護士が考えたものを使ってもらっては,かえって会社にリスクがある気がします。

 しかし… こうして一つ,会社と一緒に走って事件を終えてみると, 「顧問契約」ということの意味が,また違って見えてきますね。 上記の契約書や社内規定もそうですが, 「あのときに相談を受けていれば,もっとリスクが減らせたかもしれない」 「あのときに相談を受けていれば,こういう証拠の作成をアドバイスできたかもしれない」 いろいろと,考えることがあります。 そして,そういうことを会社が「気兼ねなく」弁護士に相談するには, 顧問契約というカタチが向いているのかもしれませんね。 さて, これからもう少し,依頼を受けている別件についての文献読みをしてから,休もうと思います。