【天秤印】横浜弁護士雑記

横浜で弁護士をしている元裁判官が、日々感じたことなどを書いています。

ハートネットTV「発達障害者の再出発②司法から福祉へつなぐ」

 高齢者・障害者の権利に関する委員会の先生が,MLで勧めておられたので,今日は早めに帰宅してこの番組を見ていました。
 昨日までは,改正個人情報保護法の施行との関係で,対応しなければならない仕事があって余裕がありませんでしたが,今日は幸いにもそうした事情はありませんでしたので…。

 「録画」はあまり利用しないことにしています。録画すると,「いつでも見ることが出来る」という安心感で,1年くらい放置してしまうか,そのまま忘れてしまうと思いますので(そのため,録画するくらいなら,該当分野の書籍を購入して読むことの方が多いですね。)。

 この番組は,罪を犯してしまった障害のある方の,出所後の生活の立て直しについて,関与される地域生活定着支援センターや,福祉施設の取り組み等を紹介した番組です。
 福祉関係の方のおっしゃられていた言葉が,印象に残っています。
 「こちらの気持ちや目的を押しつけても,それでは効果はありません」

 そして,時間はかかったとしても一つ一つの課題を改善していけるよう,手の届くところから目標設定をして,より沿っておられました。

 自分では出来ていないことに,取り組まれている方の言葉には,頭が下がるものがあります…。

 

 こうした「寄り添い」で立ち直っていける方は,決して多いわけではないのかもしれません。
 重い障害をお持ちの方だと,なかなか難しい面もあるのかもしれません。
 障害があるからといって,他の人に害を加えて良いということには…それはならないのだろうとも思っています。

 それでも,こうした取り組みを利用されて,社会に居場所を見つけられる方が,1人でも多くなればいいな,と思いますね。

 刑事裁判官をしていたとき。
 被告人に質問できるのは,本当に短い,表面的なことだけでした。
 それでも,「何も言わないより,何か言うことで,1人でも,1パーセントでも立ち直ってくれる人が増えるのではないか」
 そう思うと,何も言わずにいることは出来ず,たとえ表面的な言葉になってしまったとしても,質問や説示をせずにはいられませんでした。

 少年審判官をしていたとき。
 少年と話せる時間は,1時間ほどに増えました(始めに2時間を超えて話してしまい,付添人の先生に迷惑をお掛けしてしまいした。)。
 それでも,やはり表面的なやりとりになってしまうことが多く,「もっと時間があればきちんと本音を聞くことが出来るのでは」「審判の場でなければ違うのでは」という気持ちが残りました。

 弁護人になってみて。
 被告人や少年と話せる時間は2か月近くに増えました。シェルター関係の仕事をしたときも,そのくらいでした。
 それでも,子どもがその気になってくれないと表面的なやりとり以上の言葉は引き出せず,2か月近くの時間があっても,何が出来るわけでもない自分の無力感にいらだつこともありました。

 福祉の方々のような時間の使い方は,さすがに自分には経済的にも出来ないところがあります。私は出来ないことはできないときっぱり言うほうですので,そこまでは出来ません。

 それでも…。

 本当は,そのように時間をかけて,一つ一つ取り組まないと,なかなか物事を良くしていくことは出来ないのだろうとも思います。

 自分は,無力かもしれない。

 そう思いつつも,やっぱりこれからも,限られた時間の中で言葉を重ねることを続けるのだろうな…と思っています。

※ 長らく更新を休んでいましたが,このブログ自体,「無理なことはしない」ということを大原則に書き始めたものですので,今後もそうしたことはあると思います。すみません。