【天秤印】名古屋・横浜弁護士雑記

現在名古屋市に勤めている元裁判官が、日々感じたことなどを書いています。

発達障害児と保護者を支える心理アセスメント―「その子のための支援」をめざして【書評】

あんまりまとめてブログを書くのはどうかなあ…とは思うのですが。

まとめて書かないと、書く時間がとりにくいので(ほかにやりたいこともあるのですけれど^^;)。

ちょうど、この土日の電車の中で、読んだこの本が良かったものですから。

www.minervashobo.co.jp

児童相談所には、心理を扱う児童心理司のかたもいらっしゃいますが、そうした方々は、児童相談所が取り扱う事件のお子さんについて、継続的にかかわってカウンセリングやセラピー等を行っていただいたり、お子さんの特性に合わせた「関わり方」を保護者の方にアドバイスしたり(アセスメントといいます。)してくださいます。

この本は、児童心理司の経験をお持ちの著者が、後者についてのご自身の考えや工夫を書かれたもので、とても勉強になります。

多くの児童心理司にとっては当然のことが多く記載されているのかもしれませんが、それでも、一つ一つの課題に真摯に自分の考えを示されているのはすごいなと思いますし、児童福祉司等、関連する職種にとっては、児童心理司の仕事の一端を理解する手助けになる気はします。

 なにがしか、生きることへの難しさをもったお子さんと、その保護者の方への、温かなまなざしが全編を通じて感じられます。

「はじめに」の、「保護者の依頼によって行われたアセスメントの結果は、その保護者によって納得できるものとして受け取められてこそ実際に子どもの発達支援に活用される」という言葉が印象的でした。

また、ある種の傾向を持つお子さんの特性についてわかりやすく書かれており、そうしたお子さんがより力を伸ばしていくためにはどうしたらよいか、どうやってそうしたことを保護者の方に伝えていくか、という説明が、とても分かりやすく感じました。

 

相手の仕事を理解することは、よりよい協働には必要だと思っています。

ただ、児童福祉に関わる方々に、「裁判」というもの分かっていただけるようにすることは、思った以上に難しいところもあります。

 

裁判所は、「なぜ、そうした裁判をするのか」を証拠に基づいて、当事者はもとより、世間一般の方や、他の裁判官等に対して説明をしなければならない立場ですので…。

 

 

私の立場と、心理司や福祉司の立場は、常に一致するわけではなく、意見が食い違うこともありますが…。

何も食い違うところがないとすれば、それは、「法律の専門家を入れても児童相談所が変わらなかった」ということなので、決して望ましいことではないのだろうな、と思っています。