少年事件について話しているうちに、信頼していた付添人の先生を、少し傷つけてしまったかもしれません。すぐに謝っておきましたが、心遣いが足りなかったかなと反省しました。
難しいですね。
少年事件については、私自身なかなか妥協が出来ません。
相手の先生も、私が「買っている」先生なので同じような傾向があるのだろうと思います。
でも、そうした先生と話をすると、常に「ずれ」の危険があるのですよね…、
私が「裁判官としての視点」を持ったまま会話をしていくと、相手の先生としては普通の弁護士相手であれば説明しなくてもよいことまで説明しないといけなくなります。
私も裁判官の立場や物の考え方を前提として説明しないと、相手の弁護士に自分の考えを理解してもらえないだろうと感じることはあります。
早い段階で、そうした危険は理解できたので、子どもの権利委員会でも付添人部会にはあえて所属せずにいたのですが…。
難しいですね。
もちろん、今の私は弁護士(付添人)であって、裁判官ではありません。
ただ、やはり、裁判官時代に悩んだことが、今の弁護士としての自分の背骨になっていると思うのですよね。
それは、私にとって棄てることができないものです。
仮に、法曹3職を選ぶことができる13年前にタイムマシンで戻ることができ、10年後に自分が裁判所を辞めることが分かっていて、もう一度選び直す機会を与えられたとしても、
やはり私は最初の10年を裁判官として過ごすことを選ぶでしょう。
それだけ、多くのことを悩みましたし、悩むことが出来た立場に身を置けたことはありがたいと思っています。
こうした経験を持ってしまっている以上、弁護士の先生方との間で、認識の「ずれ」が多少なりともあることは、避けられないのでしょうね。
自分を偽っても仕方がないと思いますので、誤解されてしまったところは説明を補い、誤解してしまったところは謝って、
少しでも互いに理解が進むようにしないといけないな、と改めて思いました。
それにしても…、
弁護士になったら、他の弁護士がどんなことを考え、どんなことをやっているのか、弁護士同士はもっと情報を共有しているのか…と思っていましたが、
なってみると、弁護士同士でも「わからない」「お互いに知らない」ところは思った以上にあるんだな…ということも、わかってきました(笑)。