【天秤印】名古屋・横浜弁護士雑記

現在名古屋市に勤めている元裁判官が、日々感じたことなどを書いています。

アレルギー大学実習「小麦粉を代替した各種の料理」

 9月14日は、アレルギー大学の実習に参加してきました。 

alle-net.com

 これまでの実習では、「災害対策」「コンタミネーション防止」と、なにかしら応用的な視点を取り混ぜた実習だったために、正直、今回の実習も、ただ渡されるレシピを作るだけではないのではないか…と思っていました。

 …ちょうど、上級講座で、アレルギー除去だけを考えると、栄養バランスが崩れてしまうことが多い…という話を聞いていただけに、もしかして、こんな実習かな?、と考えていたものはありました。

―アレルギー対応でないレシピを渡されて「このレシピを卵、小麦、乳を他の物に代替して、かつ、栄養バランスの取れた品にして作って下さい」と言われて、最後に合格かどうかを栄養士の先生が判断するというような―

 実際に参加してみると、そんなことはなく、講師の先生から渡された代替食のレシピを作成する実習でした。ただし、そのレシピを作るときに、講師の先生がどれだけの工夫を織り交ぜたかについて伺えたことは、とても勉強になりました。講師の先生は、「子どもがおいしく食べられるように」という食育の観点から、「味」はもとより「色彩」や「食感」まで配慮して、代替する粉の種類(米粉、片栗粉等)や割合を細かく決めたからです。

 そして、午後には、実際にいくつかの種類の粉を水で溶いて加熱し、その硬さや色合いを実際に体験する作業もありました。

 アレルゲンを除き、栄養バランスが取れた食事、というだけでも非常にハードルが高く感じたのですが、さらに、おいしさ、色、食感まで追求するとなると、なかなか際限がない気がしてきます。

 …とはいえ、アレルギーのお子さんを持たれたお母様方は、おやりになっていることなのですよね…。いくら代替食の栄養バランスがとれていたとしても、お子さんが食べてくれなければ、栄養が届かないのですから…。

 考えれば考えるほど、大変だと思います…。

 最後に。

 講師の伴亜紀先生が言われた言葉で、印象に残っている言葉を一つ書いておこうと思います。

 「食べる時間は、一番子供の様子を見ることができる時間です。今後子どもが大きくなれば、そんな時間は無くなってしまいます。ぜひ一緒に食べてください。」

 

※ このところ、アレルギー大学が容赦(?)をしてくれないので、ブログの記事が食物アレルギー一色になってきました…。できれば、この連休の残りは、読みかけの書籍を1冊読んでしまい、次の1冊に取り掛かりたいと思っているのですが…。

アレルギー大学上級講座を受けてきました。

 9月8日は、プライベートで、アレルギー大学の上級講座を受けてきました(アレルギー大学は、すべてプライベートで私的に受講しています。)。

 「上級」にふさわしく、これまで教わったことを今一度振り返らせ、受講生の心に新たな「課題」を置いて行ってくれる、そんな内容の講座でした。

 1限目の「最新医療・免疫療法」は、これまでの講座で話の出てきた食物アレルギーの治療法である免疫療法に話題を絞って、詳しくお話しいただくものでした。免疫療法の原理は、なんとなく理解していたものの、実際に実施するときのイメージはあまり持てていなかったので、会場からの質問と相まって、多少なりとも理解が進み、助かりました。

 2限目の「アレルギー児の栄養食事指導」は…。衝撃でした。これまでの実習で、アレルゲンを除去した食事を作ることをやってきただけに、毎食アレルゲンを除去した「だけ」の食事では、どれほど栄養価のバランスが崩れてしまうかを目で見える形で示していただき、それをどのように補うかの「問い」を投げかけられたことは、「誰のためにアレルギー対策をしているんのか」という原点を振り返させられる内容でした。

 そして、3限目の「アレルギー児と家族の支援」は、どうしても親御さんの考えで治療が進められることが多く、なかなか子どもの治療意欲を引き出しにくい食物アレルギー治療の現場において、どのように子どもの納得を得て治療を進めていくか、という、まさにこれまでの講義の中に含まれていなかった視点の話でした。ただ、実際には簡単な話ではなく、個別の事例に応じた対応を積み重ねるしかないのだろうとも感じましたが…。

 そして、最後には、他の参加者と、話し合うひと時を持ちました。

 ここで聞いた話、ここで学んだことを、どうしたらほかの人にもわかってもらえるのか。

 アレルギー問題に関わってこられた先達の話を聞きつつ、そうしたことについて、思いを巡らせることができました。

 ここで学んだことを、どう生かしていくか、これからどのように学びを続けるのか、そうしたことの答えはまだ出ていませんが…。

 いろいろな課題を手渡された気もします。

 僕にできることは多いものではないのかもしれませんが…。

 ありがとうございました。

アレルギー大学実習「アレルギーっ子の災害対策」に参加して。

 8月31日は、アレルギー大学の実習、「アレルギーっ子の災害対策」に参加してきました。

 実のところ、参加する前には、「今回は、それほど受講する必要はないかもしれない…」とも思っていました。平成31年3月10日の「第3回小児アレルギーを学ぶセミナー~アレルギーの基本から災害の備えまで~」で、宮城県立こども病院の三浦克志先生の「災害からアレルギー児と自分たちを守る」という講義を受けたことがあり、東日本大震災の経験を基にしたお話…アレルギー児に必要な物資の提供が途絶えたこと、外部から物資提供を行おうとしてもアレルギー児の知識・情報をもって仕分けしてくれる部署がなかったこと…を聞いたことがあったからでした。

 たぶん、同じような内容かな、と思いつつ、それにしては「講義」ではなく「実習」で、かつ、会場が「国際調理師専門学校名駅校」必要な持ち物が「エプロン、三角巾…」という通知に、ちょっと首をかしげていました…。

 

 いや、これは受けておいてよかったと思いますし、受けた方が良いです。本当に。

 なぜなら、実際に(被災地現地に入ったというような仮定で)果たしてアレルギー児に配慮した炊き出しを行えるか、という「炊き出しの実習」だったためです。

 調理条件は以下の通り。

 1、水は2Lのみ使用可。

 2、コンロ二つ、鍋2つ使用可。

 3、食器・調理器具は洗えない。

 4、ラップ・ホイル・キッチンペーパー・クッキングシート・ポリエチレン手袋・アルコール消毒薬は使用可。

 

  はじめこの条件を見た時点でも、お恥ずかしいことに「どれだけ難しいか」がすぐには理解できなかったのですが…。

 野菜を洗うにも、水の使用に限りがある。調理器具は洗えないし、フライパンも使えない。そして何より、ゆでたジャガイモをつぶしたくても、水が足りなくて冷ますことができず、つぶすにつぶせない(想定外でしたね…水が使えるって、便利なんだなぁ…ということが分かりました…)。

 調理をしていくうち、そうしたことで、どれだけ作るメニューに制限がかかるかがやっと(身に染みて)わかってきました。

 また、被災時は、ごみの収集がされるわけでもないので、「できるだけごみを出さない」という要請もあり、これも地味に効いてくるものでした。 

 この調理条件の上で、7大アレルゲン(卵、乳、小麦、そば、えび、かに、落花生)を使用しないようにする。材料もあるもので作る。特に主菜のたんぱく質は、各種缶詰のうち一種が、抽選で指定されるという方法。

 そして、わが班は、見事「大豆の水煮缶」を引き当てます…。

 

 大豆の水煮で主菜…。すでにこの辺で僕個人の対処能力を超えたような気もします。

 同じ班の皆さんの力があって、何とかなりましたが…。

 僕は、ほぼもっぱら、力仕事(ゆでたジャガイモをつぶしたり)とか、他班の偵察?(他班がアルミホイルで(ふたのなかった)鍋にふたをしていたのを見て、それをうちもやろう、とか、アルミホイルでジャガイモの皮をむく方法をみて、あそこもああやってる、とか…)で、多少なりともお役に立てた…のかはわかりませんが…。

 う~ん、これを一度経験すると、アレルギーのお子さんのいるご家庭では、災害に備えて「自助」を用意したほうがいいことも非常に納得がいくし、また、炊き出しを実施する側としても、いきなり災害時に「アレルギーの子がいるから対応してほしい」と言われても難しいだろうなあ(もっと前に言っておいてほしいだろうなあ)、ということが、よくわかります。

 やっぱり、知識として知っているのと、実習でやってみるのは、全然違いますね…。

よくわかる予防接種の基本【書評】

 児童相談所では、ケースの検討する場合等で、お子さんの予防接種に触れられることも、多々あります。

 そこで、少し前にこんな本を買っておきました。

www.chugaiigaku.jp

 本屋さんで、類書3~4冊を比較検討して買った本です。

 あらかた目を通しましたが、僕個人にとっては「当たり」だったな、と思っています。

 特徴としては、医学的な知識から始まり、制度について、各個別の疾患についてと、幅広く網羅的に触れられている点だと思います。医学的な基本にのっとり、かつ、全体像を把握するのによい本です。

 他方で、ごく普通の方向けには、少し難しすぎるところはあると思います。

 僕も、「食物アレルギー」についてある程度勉強していたおかげで、何とか大雑把には内容をつかめましたが、正確に内容を理解するためには他の書籍等で勉強しないといけないかな、思っています。

 なお、法律面のことはそれほど触れられていません。もっとも、この分野で法律面の本というのがあるのかどうか、わかりませんが…。

 それにしても、感染症・予防接種等や、食物アレルギーについて勉強してくると、「免疫学」というものをきちんと押さえないと、呑み込めないままのところが出てきてしまうのだろうなあ…と感じています。

 いずれ「免疫学」の本も読んでみたい気もしますが、そうした本を仮に読むとしても、さすがに今年はもう難しいかもしれませんね…。 

 

「かよわくて、きっとつよい」を聞きに行きました。

なかなか、ブログを書くことまで力が回りませんが…。

7月27日と、28日には、函館で開催された、第11回日本子ども虐待医学会の学術集会に参加してきました。

「かよわくて、きっとつよい」という、サブタイトルが、非常にいいなあ…と思います(サブタイトルなのか、標語なのか、そのあたりはわからないのですが…)。

日本子ども虐待防止学会は、どちらかというと弁護士も理解できるソーシャルワークを学ぶ学会であるのに対し、日本子ども虐待医学界は弁護士とは全く畑違いの「医学」を扱う学会なので、知らない知識が多く、正直、こちらの学会の方が好きです。

ただ、医師でないと会員になれないらしく、3年ほど前に申し込みをしてみたら、断られてしまったことがあります(まあ、もっともなんですが…。)。

今回の学術集会でも、診断に関する発表、法医学に関する発表、性虐待に関する発表、頭部外傷に関する発表、医療ネグレクトに関する発表と、非常に多彩で、興味深い発表を伺うことができました。

知識的なものはひとまず置いて、感銘を受けたのは、基調講演として行われた、児童精神科医田中康雄先生の「居る・つながっている・会えるから関わり続けることに意味があるから」でしたでしょうか…。

たとえ同居している家族でも、ある時期にはその子どものことを知らない「分断」が生じてしまうことがある。そう考えると、精神科医と子どもの間に「分断」はどうしても生じてしまう。とはいえ、虐待にあっている子どもは、「分断」というものに弱いところもある。だからこそ、精神科医の方が子供に関心を持ち続けることで、少なくとも精神科医の内面では「分断」を生じさせないようにすべきだ、というお話だったように記憶しています(誤解があったら申し訳ありません。)。

精神科医にできることは、「分断して生きることしかできなかった子どもの「生き方」の隙間に入り込み、少し(分断の)邪魔をする」ことだとし、「医師が子どもの前から勝手にいなくならないこと」が大切だと話された言葉が、耳に残っています。

 

以前、横浜でいろいろなことを教わっていた精神科医の先生からも、「精神科医は、いつも患者が逃げてくることのできる場所であり続けなければならない」という趣旨のことを言われたように(おぼろげに)記憶しており、その言葉が、なつかしく思い出されました。

2日間、いろいろと学ばせていただき、ありがとうございました。

アレルギー大学中級講座に行ってきました。

 やはり、少し前のことになりますが…。

 7月7日には、アレルギー大学の中級講座を受けてきました。

 中級講座の内容は、①食物アレルギーの臨床(各論)、②アレルギー児の受け入れ、③気管支喘息、花粉症、ダニアレルゲン、④集団生活の食事・学校給食のアレルギー対応について

でした。

  「食物アレルギーの臨床(各論)」は、必要不可欠ではないが、人によってはあると有用な知識、という感じでしょうか。どういった調理法を行うと、アレルゲンが低下するかといった話や、薬や漢方薬のなかにアレルゲンが含まれうるのか、といった話、また、血液検査のある値と、他の値を比較することが、診断の助けになるか、といった話があり、非常に興味深かったです。

 「アレルギー児の受け入れ」は、学校・保育園等でアレルギー児を受け入れるにあたり、どうしたらよいか、ということについて、様々なガイドラインに書かれている内容を参照しつつ、それらのガイドラインに書かれていない「行間」について講師の先生の考えを交えて、具体的に語ってもらう内容で、あらためて各ガイドラインを参照しなおしたいという思いになりました(当分先のことになりそうですが…)。

 また、「気管支喘息、花粉症、ダニアレルゲン」は、私自身、食物アレルギーへの関心が中心であっただけに、こうした疾患についても振り返る良い機会になりました。なにか、適当な論文があれば、ざっと読んでおきたい気もします。

 そして、今回一番衝撃を受けた講義が、「集団生活の食事、学校給食のアレルギー対応について」でした。

 この時間は、限定的(卵除去)とはいえアレルギーに対応する学校給食を提供している、豊川市の取り組みの実際について、講師の先生から話を聞いたのですが…。

 正直、卵を除去するだけで、ここまで手順が複雑になるとは思っていませんでした。もちろん、「程度問題」はあるのでしょうが…。

 「給食センター」という多人数の食事を作る場面でアレルギー対応をしようとすると、一か所の保育園が取り組むよりもはるかに大変で、システムを1から考えて作らないと難しいことが、わかりました。

 時間があれば、アレルギーに対応している他の自治体の給食システムなども、学んでみたい気がしますが、いつになるか…。う~ん。。。

アレルギー大学実践研修(初級)に行ってみました。

 ずいぶん記載が滞ってしまいましたが、6月30日は、アレルギー大学の実践研修「コンタミネーションを防止する作業手順」を受けてきました。

 コンタミネーション(contamination)というのは、「混入」を意味しますが、食物アレルギーの関係では、本来アレルゲンをふくまない食べ物に、加工や調理の過程でアレルゲンが混ざり込んでしまうことを言うのだろうと思います(違っていたらすみません)。

 「食品表示」の場面では、加工食品を作るときに、工場の機械(ベルトコンベアなど)で他の製品も作ることなどにより、アレルゲンが混入してしまうことを言いますが、この日に学ぶコンタミネーションの防止は、調理、配膳の手順の中でそうしたことが生じないか(卵スープをすくったお玉で、アレルギー児の食事の盛り付けをしてしまったり、卵の殻を割ったときに、卵の飛沫がアレルギー児用の食事に入ってしまうなど)ということなのだということは分かっていました。

 …テキストである「新 食物アレルギーの基礎と対応」は、一応先日通読しましたので。

 

 研修の冒頭では、保育園で勤務された経験のある講師の先生から、現場での経験をお話しいただいたのですが、およそ150名ほどの食事を、調理師2名で作り、しかも、そのなかにアレルギー対応を要する児童もいる、という状況には、驚くしかありませんでした。

 コンタミネーションの防止は、話を読む(あるいは本を読む)分には、単純なことに思えるのですが、グループで、実際に、一般食とアレルギー対応食を、複数名分ずつ作ってみると、その大変さがよくわかりました。

 ほぼまったく初対面のグループ。お互いに、相手がその調理をするのにどんな手間がかかってしまうかわからない。そのため、どうしても「見切り発車」で調理に取り掛かる形になってしまいます。しかも、一旦作り始めてしまうと、それぞれ自分の作る製品で手いっぱいになってしまい、下手に他の人間が口を出せないというところも、難しかったです。

 本当は、一度一般食だけを緻密にログを残しながら作ってみて、そのログを基に、アレルギー食の手順をどう組み込むかを考えると、もっとうまくいくのかもしれないと思いました。

 僕の所属しているグループがなんとかなったのは、リーダー(保育園の勤務経験のあるかたでした)が行った当初の担当分けが非常に良かった(調理に不慣れな僕と、全体を見渡す必要のあるリーダーを、一番最後に作成すると思われた「汁物」の担当にした)おかげです。リーダーは常に必要な指示や様々な相談への対応、手伝いに対応することができ、僕は僕で、完成品・半製品を片端からラップで覆い、「分離」「印付け」に注力することができましたので…。

  また、休み時間に、実際にアレルギーのお子さんを持った経験のある方から、子どもに対して単に過保護にすればいいわけではなく、その子どもが「食べてよいかどうか」「どうすればよいか」を自分で判断できるよう、自立できるようにしていくことが大切、という話を伺い、とても考えさせられました。

 実際に、そうしたお子さんを持った方々に比べれば、こうした研修で僕が学べることなど、本当にたかが知れているのだろうと思うのですが…。