【天秤印】名古屋・横浜弁護士雑記

現在名古屋市に勤めている元裁判官が、日々感じたことなどを書いています。

「根っこから考える子どものアレルギー」を聞いてきました。

 11月2日、3日は、日本小児アレルギー学会の学術大会「根っこから考える子どものアレルギー」を聞いてきました。

 食物アレルギーに関心を持ったのは、もともと、児童相談所に勤める前に、児童相談所でお子さんをお預かりするときに食物アレルギーに配慮しなければいけないことを知ったことがきっかけです。

 とはいえ、食物アレルギーがどれだけ危険で、どれだけ大変なのか、どうすればよいのか…そうしたことまでは知らなかったので、恥ずかしく思い、ちょうど愛知県で活動していたアレルギー支援ネットワークのアレルギー大学を受け始めたことがきっかけでした。

 ただ、「関心を持っているときに勉強することが一番身に付く」と思っていますし、勉強することは「その勉強の周りにどんな活用が広がっているか」を知ることで、より活きてくると思いますので、ちょうどアレルギー大学も上級まで受け終わったこの機会に、アレルギーについての最新の知見が集まる場に行ってみたかった…と思いました。

 

 参加してみると…やっぱり、今までとは少し違った視点や理解を持てるようになりますね。とはいえ、最新の知見が「わかる」というわけではなく、あくまで、その学問の世界がどういった広がりを持っているのかといった点の理解になりますが…。

 個々の講演・発表は難しいものも多く、「微生物」「ブドウ球菌」などが絡む発表については、ついていけなかったところもありました。

 他方で、食物アレルギーの原因となるタンパク質の構造などは多少なりともアレルギー大学で聞いていたので(S-S結合など、知らない言葉も出ては来ましたが…)、少なくとも「どういった話をしているか」くらいは、なんとなくわかりました。

 また、アレルギー専門医と、クリニックや関係機関との連携に関する様々な発表は非常に興味深い点がいくつもありました。そして、アレルギーの症状が出た患者さんについて、医師が「どの食べ物が原因なのか」を調べるためにさまざまな文献を調べたり、推論を重ねて検査をし、突き止めていく具体的な過程を知ることで、この分野に携わる医療分野の奥深かさの一端を知ることができました。

 この学会の特徴として強く感じたのは、「発展途上」「究明途上」ということでしょうか。

 発表の中でも、日本で稀な症例の発表や、医学ではない他分野の知見や、免疫学にとどまらない他の専門領域の知見に基づく発表が多く見られました。

 物販でも(また5冊ほど買ってしまいましたが…う~ん。)、アレルギーやアトピー、喘息の書籍混ざって、研究論文の書き方についての書籍が散見されましたし、講演の中にも「統計学から見た臨床研究論文の読み方」という講座があるなど、これから研究をしていこう、人を育てよう、という方向性が強い学会に見受けられました。

 単なる学術的な内容にとどまらず、「ハンズオンセミナー」として、スキンケアの方法やブリックテストの方法を学ぶ場があることも、面白い試みだと思いました(もっとも、他の聞きたい講演と被っていたこと、医療職の資格を持っていないことから、僕はハンズオンセミナーは受けていませんが…)。

 地域連携については…、もっと食物アレルギーのお子さんの情報が、必要な個所で共有され、連携が進むと良いな、と個人的には思っています。

 アレルギーについての検査情報等は、個人情報保護法で言えば「要配慮個人情報」(同条2条3項)にあたりますので、原則としては本人の同意のもとで他者に提供することになります(同意を得ることが困難な場合には、それが児童の健全育成に資するのであれば提供できます(同法23条1項3号))。

 医療連携において、スマートフォンタブレットを使って、医師、薬剤師、訪問看護師、介護士等が連携する構想があるのと同じように、食物アレルギー情報を、アレルギー専門医、地元の医師、学校や保育所等で、もっと共有できる仕組みができると、いいのではないか…と思っています(まさに今試みられていることなのでしょうが…)。

 

「成人発達支援の新しい展開」(第7回成人発達障害支援学会)を聞いてきました。

 10月26日と、27日は、成人発達障害支援学会の学術集会を聞きに行ってきました。

 ちょうど今年、名古屋で開催されることから知った学会です。

 児童相談所ではお子さんの障害の相談を受けることもあるため、発達に障害を持つお子さんが成人になったときにどういった支援・環境があるのか、という点に関心があり、参加してみることとしたものです。

  就労支援、家庭生活支援等について、大学や病院、発達障碍者支援センターなどで、いろいろと挑戦的な試みに取り組まれているお話を聞くことができ、印象に残りました。特に、「障碍者支援」という形ではなく、だれでも参加できるイベントを作り、そこに自然に、障害のある人も、ない人も参加していくことで、社会とのかかわりを築いていくお話が興味深かったです(そのお話は、前に参加した学会で聞いた、アディクションの話とも比較すると、さらに考えさせられるものでした)。

 あとは、研究会等でお話を伺っている、杉山登志朗先生から、発達障害を持つ方が複雑性PTSDを発症している場合の治療法についてお話を伺えたことと、他の発表者の発表した心理療法との違いについて考えるきっかけになったことは有意義でした。

 心理療法は、話を聞くとなにかしら漠然と「こうした感じの物かな」というイメージをもつこともあるのですが、「他の心理療法との違い」「どういった場合にどの方法が良いのか」などということを考え出すと、結局自分が何もわかっていなんだなということがよくわかります。

 トラウマに関連する書籍等も、いくつか購入しましたので、また読んでいってみたいと思います。 

 とはいえ…。学会等があるたびに、何かしら新しい知識についての本を買うので、今月だけで17冊ほど未読の本が増えました…。大赤字です…。今月読めた本は、せいぜい2~3冊ぐらいですし、いつ読み終わることができるのか…。

 11月も、土日は全て予定が入っている気がしますし…。

  でも、今知りたいと思うことに全力を尽くしてこそ、多少なりとも自分の力になるところがあると思っていますので、まあ、僕はこれでいいかな、と思っています。

日本法医学会学術中部地方会に参加してみました。

 もう、一週間前の話になってしまいますが…。

 10月19日は、日本法医学会の、学術中部地方会に参加させていただきました。

 法医学は、刑事事件でその知識が必要となることはありましたし、日本子ども虐待医学会の学術集会などで話を聞いたりした折に、関心をもっていました。

 とはいえ、素人(児童相談所常勤弁護士)が学ぶようなことができるものなのか、それを学んでどういった面で役に立てることができるのか、そうしたことも分からなかったため、まず「自分の視野を広げる」ために、とりあえず今年から法医学会に所属してみることとしたものです。

  やはり、法医学の学術集会を見せていただくと、「法医学」の取り扱う全体像を見ることができるため、自分の職種に関連するところだけを見ることとは全く印象が違ってくるな、という感触を受けました。

 法医学において、人のお亡くなりになった原因を調べる際には、さまざまな疾病、とくに心臓疾患や脳疾患との鑑別が要求されるため、それらの疾患についての基本的な知識を備えていることが必須であることが、とてもよくわかりました。

 抄録に書かれている用語などを、インターネットで調べても、その用語の説明の中にまた知らない用語が出てくるような感じでしたね…。

 これを機に、法医学の書籍も新しい版のものに買い替えましたし、また少しずつ折に触れて勉強していこうと思っています。

 

養問研の勉強会に参加してみて。

 10月17日には、全国児童養護問題研究会(養問研)中部日本ブロックの勉強会「児童養護施設における外国籍の子どもへの支援」に参加してきました。

 

 が…。う~ん…と唸ってしまいました。

 やはり、世の中には「難しい」「悩ましい」事例がいくらでもあるなあ…と…。

 弁護士として法律相談を受ける場合に、ある程度の知識を持っていると、相談を受けたときに「こんなところが参考にできるんじゃないか」「こんな知識が使えるんじゃないか」という、何かしらの「手掛かり」をつかめることは多いのですが、外国籍の方の事例では、そうした「手掛かり」として思いつくものが多くはないうえに、後でそうしたものを調べても、なかなか答えまではたどり着き難いところがあります。 

 入国管理行政等については、裁判等になっている事件や、公表されている事例・資料が決して多いわけではなく、判断が難しいことは多いものですから…。

  もう少し考えてみて、他の先生にも聞いてみるかなあ…。

 いずれにせよ、一度関心を持った事柄については、少しずつでも関心を持ち続け、学び続けるようでありたいとは思っています(…関心を持つことが多すぎて、ちょっとあふれている感じがするのですが…)。

外国につながる子どもと無国籍【書評】

 ずいぶんと前に読んだ本ですが、ちょうど、一つ前で外国の方の法律問題についての本を紹介したところですので、ついでに書いておこうと思いました。

www.kinokuniya.co.jp

 前の本(外国人の法律相談Q&A)では、「日本で生まれた子が国籍を取得できないことがあるのか」については、かならずしも詳述されてはいませんでした。というか、それについて詳述された本というのは(「無戸籍」ならばともかく「無国籍」となると)、あまり他にはないように思われます。

 この本には、日本で生まれて、子どもが国籍(日本国籍はもとより、外国国籍も)事実上取得できない場合があることについて警鐘を鳴らし、その場合にどうしたらよいかについて書かれた本です。

 同期の先生で、神奈川県弁護士会でご一緒させていただいた小豆澤史絵先生が、著者のお一人となっている本であり、小豆澤先生から勧められた本です。

  各弁護士会では無戸籍に対応する相談を行っておりますので、そうした相談に対応する法律家の方や、児童相談所をはじめ、こうした事件に関わる法律家の方にはお勧めしたい本です(マニュアルだけだと、わかりにくいところもありますので…)。

 非常にわかりやすく書かれてはいるものの、それでも難しいところがあるので、一般の職員には強く勧め難いところはあるのですが…。

 おりにふれ、この本に出てくる知識が問題となった場合に、付箋を貼って、回覧したりして、関心を持ってもらうようにしていますね…。

外国人の法律相談Q&A【書評】

 本当は、この週末も、いろいろと予定は入っていたのですが、折からの台風19号のために、参加予定がすべてなくなりました。

 正直、先々週・先週と、2週続けて週末の休みを、プライベートで学会等を聞きに行くことで使ってしまっていたので、正直、休みが取れたのは助かりました。

 …で、この本を読んでいました。

shop.gyosei.jp

 なお、これから読もうと思う方は、近日中に(9月下旬って書いてあるのですが、まだみたいです…)第4次改訂版が出るようなので、そちらがおすすめです。

shop.gyosei.jp

特定技能に関する入管法の改正技能実習に関する法の成立国際裁判管轄に関する人事訴訟等の改正などが、盛り込まれているんじゃないかな…と思います。)。

 

 もともと、神奈川県で弁護士をしていた時に、購入した本です。

 神奈川で弁護士をしていたころには、労働等で外国とかかわる相談もないわけではなかったものの、ある程度の知識を要求されたのは、外国人の刑事事件をめぐる手続きでした。「先の見通し」(日本での在留を続けられる可能性があるか、どの程度かなど)を説明できないと適切な弁護戦術のアドバイスが難しい場合があったためです。

 もともと、「法廷通訳ハンドブック」はもっており、外国の方に日本の刑事手続きを説明する際などに重宝しましたし、外国人の刑事事件にまつわる注意点などは、「外国人刑事弁護マニュアル」などを折に触れて参照していました。

www.gov-book.or.jp

www.genjin.jp

 それでも、特に「在留特別許可」等についての知識が必要になったこともあり、類書を比較検討して、この「外国人の法律相談Q&A第3次改訂版」を購入しました(横浜の至誠堂書店さんには、いつもお世話になっていました…。)。

 

 この本の特徴は、①単に出入国制度(在留関連)や刑事手続のみならず、国籍、結婚や離婚、親子関係、相続、就労、留学から、税金、社会保障等に至るまで、幅広い記述があること、②Q&A方式であり、比較的記述がわかりやすいところです(といっても、一般の方にお勧めできるかというと…少し難しい気もするのですが…)。

 他方で、実際にある特定分野の事件を受任するためには、この本だけでは心もとないと思っています。その場合には、それぞれにより特化した書籍で知識を補うか、経験のある先生等の助力を得た方がいいのではないかと思います。

 とはいえ、出入国管理及び難民認定法についての基本書をいきなり読むのはなかなかきついとも感じていたので、(通読はしなくても)手元に置いておく一冊としておすすめです。

 多くの弁護士にとっては、1冊あればかなり心丈夫な本ではないかと思います。

 それにしても、第3次改訂版も平成28年に出たものなのに、もう上に触れたような各種の法改正があるというのは…。この分野も移り変わりが激しいなと思いますし、なかなか、この分野を専門にした先生でないと、こうした外国の方の事件に取り組むのは難しいかもしれないと感じてしまいます。

 

 なにも、いま第4次改訂版が出る前に通読しなくてもよかったのですが、10月17日の勉強会で、外国籍の児童に関する問題が取り扱われると聞いており、こうした機会(そうしたイベントがあるから、それまでに読もう!)を活かさないと、通読できない気がしたのですよね…(やはり通読しないと、理解に限界があると思っています。)。

 今後は、第4次改訂版も出たら購入するでしょうし、また別に出入国管理及び難民認定法の本も買ってみたいと思います。

 いろいろな問題となる事例を読んだいまであれば、基本書も読みやすいと思いますので…。

「アルコール・薬物依存関連学会合同学術総会」を聞きに行っていました。

 10月の4日、5日、6日は、「アルコール・薬物依存関連学会合同学術総会」を聞いてきました。

 児童相談所がかかわるケースの中には、何らかの依存症をお持ちではないかと思われる方などもいることもありますので、こうした知識は役に立つのではないかと個人的には感じていますし、児童虐待やトラウマといったものと、深く結びついていると感じています。

 そもそも、児童相談所に入る前から、神奈川にいたころに小林桜児先生のお話などを伺い、感銘を受けたこともありましたので、名古屋でも依存症に明るい先生などとお知り合いになれないものかと考えていました。

 …短絡的というか、そうした思いがあり、「どんな方々がこの世界(学会)にいらっしゃり、どんなことが研究されているのか」。それを知りたくて、参加した学会です。

 とにかく、濃密で、充実していました。治療法としては、認知行動療法等に基づくものが多いようでしたが、その方法が工夫を重ねられ、精緻なものとなっていることが印象に残りました。他方で、具体的な症例について伺うと、そうした「方法」が症例に単純に適応できるわけではなく、一人一人の相談者を目の前に、試行錯誤を重ねざるを得ないということも、おぼろげながら感じられました。

 そうした心理的なアプローチばかりでなく、薬理学―薬品等が体に働きかける仕組み、や脳の仕組みなど、医学・薬学に関わる話も聞けたことは(ついていけないところも多々ありましたが)とても興味深かったです。

 …それまで触れていないジャンルの話を聞くと、そこに、まだ知らない「問題解決の方法」があるようで、ついのめりこんでしまいます。

 会場には物販もあり、5冊ほど本を買ってきましたが、少しづつでいいので、読み進めていきたいと思います。

 …こうした時に買う本は、「ブックマーク」や「あしあと」、「お気に入り」に近いものだと思っています。講義で聞いたことだけだと、頭に残らないことも出てきてしまいますが、本を買って本棚においておけば、いつか疑問に思った時に本を開いて思い出すこと、学び始めることができますので…。

 あわよくば、来年も聞きに行きたいものですが…。こうした学会に触れるにつれ、参加者の方から新しい別の学会を教えていただけたりするので、困ってしまいます。

 未熟な僕に、また新しい世界への窓を開いていただき、ありがとうございました。

 可能であれば、また来年も聞きに行きたいと思っています。