東洋経済新聞社「パワハラ防止のためのアンガ-マネジメント入門」を読み終わりました。
何かの拍子で目次を目にし、目次から推測する限りそれなりの内容がある書籍に思えたこと、
そして「パワーハラスメント防止」のためにアンガ-マネジメントという視点が興味深かったので、買ってみた本です。
アンガ-マネジメントというのは、「怒りの感情を抑える」方法のようなもので、アメリカ生まれの方法だと聞いています。
私がこの言葉を初めて聞いたのは「パワハラ」等の場面ではなく、少年審判官時代、「カッ」となって非行事件を起こしてしまった少年に、もし少年院に行ってもらうとすれば一体どんなことができるのか?、と家庭裁判所調査官に聞いたときに、調査官がその名を出したときでした。
もっとも、「具体的にどんなことをするの?」と聞いたところ、「怒りの感情が芽生える過程を振り返らせて、どこがいけなかったのかを考えて…」というような話で、それがどれだけ効果があるのかは、いまひとつわかりませんでした。
当時も、確か紀伊国屋Webなどでアンガ-マネジメントの書籍を捜しはしたのですが、あまり買いたいと思う書籍が見つからないか、入手困難のため、見送ったのだろうと思います。
この本を読むと、なるほど、有効かもしれないなと思える方法も見受けられます。
怒りの感情を覚えた際に、それを自分で紙に書いて記録し、客観化するアンガ-ログの方法、怒りの感情を覚えた際に6秒間待つデュレイテクニック、日ごろの感情のモニタリングと改善など…。
他のビジネス書で見たようなテクニックもありますし、「ゆがみ」を認識するなど認知心理学に基礎をおいていると思われる技法や、コーチングから来ていると思われる技法もありますね。
この本には、アンガ-マネジメントの起源や、心理学的な根拠までは書かれていませんでしたが、そうした「怒り」の制御に有効と思われる方法をとにかく集めたものが、アンガ-マネジメントというものなのかもしれませんね。
この本でも、学校や企業で導入されつつあると書かれていますが、この本に書かれているような手法は、むしろ「日常的な、怒りや不満の感情を持つことがある場面」でこそ実施しやすいものなので、少年院などで行うよりも、ビジネスパーソンや教師が日常行う方が、あるいは効果があるのかもしれないな、と感じました。
(以下平成26年12月28日追記)
なお、この本は、あくまでも「ついカッとなってしまう」という人が、自分で自分を変えようという場合に有効な書籍であって、パワーハラスメントに遭っているという人が読んで、事態が改善されるという本ではありません。
もちろん、その人がイライラを他にぶつけてしまっている場合には、それを直すためには有効かもしれませんが…。
上司と上手く関係づくりをする方法として、アメリカでは「ボスマネジメント」というものが、また別にあるそうです。
そんなことまでお金をかけてシステム化して、それが売れるあたり(売れなければ、そうした名前を聞くこともないでしょうから)、
…アメリカは、まあ、なんというか、
すごいな、と思いますね…;。