【天秤印】春日井弁護士雑記(旧名古屋・横浜弁護士雑記)

現在春日井市に勤めている元裁判官現弁護士が、日々感じたことなどを書いています。

【書評】少年事件の処理に関する実務上の諸問題(法曹会)

 通読はしていないので、僕自身がこのブログで書評を書く際の方針からは、はずれるのですが…。

 とはいえ、諸外国の少年事件の裁判手続きについて書かれた個所と、立法論について触れた個所を除いた、129頁から300頁まで(第4章及び第5章)を通読したので、少し書いておくことにしました。

少年事件の処理に関する実務上の諸問題 ―否認事件を中心として― | 政府刊行物 | 全国官報販売協同組合

 現在は、平成12年の少年法の改正により、一定の重大事件については、検察官の関与や、国選付添人の制度、観護措置期間の延長などがされており、この本に書かれている内容とは違う制度になっています。それでも、そうした「一定の重大事件」に当たらない通常の少年事件(特に否認事件)において、少年審判官が手続き上直面するであろう「悩み」を知るには、良い本だと思います。改めて認識できたことも多々ありましたし、自分の考えの整理も進んだように思います。

 弁護士になって以降の少年審判については、家庭裁判所にいたときの経験にかなり頼って対応していましたし、それでこれまではどうにかなっていましたが(司法協会の書籍と、注釈書、付添人活動についての書籍は購入していましたが)、そろそろ、改正法下の運用面について書かれた書籍についても、探してみたらよいものがあるかもしれないな、と思いました