【天秤印】春日井弁護士雑記(旧名古屋・横浜弁護士雑記)

現在春日井市に勤めている元裁判官現弁護士が、日々感じたことなどを書いています。

伝わらない?

「それでは、裁判官には伝わらないから…」

弁護士事務所をやっていた時も、児童相談所にいたときも、そして今も。

結構これを説明しているのだけれども、これがなかなか伝わらない。

何が伝わらないって、「裁判官が何を考えて、何をやっているのか」(=どうしないと裁判官に勝たせてもらえないのか)が、なかなか伝わらない。

 

なんだか、「警察の発展形」みたいな感じで、

「警察は分かってくれないけど、裁判官は分かってくれる!」みたいな考えの人もいる。いやそういう役所じゃないから。

「もう自分の手には負えないんで、裁判所に何とかしてもらうしか…」

そんな考えの人いる。

いやそういう役所でもないから。

 

市役所が、住民票を取るとか、戸籍を取るとか、出生届を出すとか、「できることが決まっている」のと同じように、裁判所も「できることが決まっている」のだけれど、それがなかなか伝わらない、伝えにくい。

ある意味、専門家である法律家として、それは説明できないといけないものなのだろうけれど、たぶん、法律家はあまりそれを伝えなくても何とかなってしまうところはあるのだろうと思う。

検察官や裁判官といった「役人」は、仕事の内容が「制度」として決まっているから、伝える必要がそれほどない。

弁護士は、「分かってくれる人(!)」か「分かってくれなくても任せてくれる人」「分かっていなくても任せるしかない人(?!)」等をお客にすると、これも伝えることが…必ずしも必要ではない(かもしれない。たぶん)。

 

でも、市役所のような組織に所属してしまうと…。

これを伝えて、分かってもらえないと、職員が「納得して動けない」

分からないまま弁護士の言うことに職員が従う、ということになると、納得して動けないからストレスや不満がたまる。弁護士の言うことをわかってもらおう、納得してもらおうとすると、時間と努力と職員側の「理解したい」という意欲が必要になる。

 

ううん…。

まあ、そこが難しいからこそ、児童相談所の後「リベンジ」で春日井市役所に勤めているのだけれど。

そして、それができると、やっぱりいいんじゃないかと思うんだけれどなあ…。

これは僕の夢の一つの形かな。

※追記 ああ、そうか。やっぱり職員に「理解」してもらわないと、それを現場でうまく「落とし込む」ことをしてもらいにくい…日々の行政の現場に、最適な形で法的な対応をうまく取り込んでもらうことが難しいから、やっていることだし、目指していることなんだな

「『餅は餅屋』と言っていたのでは、雪見だいふく(子どものころ好きでした)は生まれなかった」というのが、「行政と司法の連携」を目指すようになってからの、僕の持論ですから。