【天秤印】春日井弁護士雑記(旧名古屋・横浜弁護士雑記)

現在春日井市に勤めている元裁判官現弁護士が、日々感じたことなどを書いています。

赤ずきんとオオカミのトラウマ・ケア【書評】

 

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これも、最近読んだ本です。

以前、「トラウマセラピー・ケースブック」を読んだ際に、学説・立場によって「トラウマ」というものの理解が異なっていることが分かりにくかったので、たとえば「ここまで分かってきたトラウマ」のような、「トラウマ」について詳しく書かれた本がないかと思い、支援団体の方に「トラウマ」について詳しく書いた本がないか伺った際に、勧めていただいた本です。

表紙を含めた挿絵や、「赤ずきん」と「オオカミ」の物語(童話ではありません)に従って説明していく内容のおかげで、取り扱っているテーマが重いものである割には、その重さを少しやわらげて、読みやすくなっているのではないかと思います。

この本に出てくる「オオカミ」は、動物の「オオカミ」ではなく、過去につらい体験があったため、人(赤ずきん)を傷つけるようになってしまった人のことです。

 内容としては、主にトラウマを受けられたご本人向けに、トラウマを受けると、どういうことが、なぜ起きるのか、それに対して、自分はどうしたらいいか、といったことが、(おそらく持続エクスポージャー療法におけるトラウマ理解の立場から)比較的わかりやすく書かれています。「比較的わかりやすく」という表現をしたのは、やはり、子どもには少し難しい内容が残っているように思うためです。

 こうした本を、実際に読んで、どれだけの効果があるのか、どんな人にこの本が向いているのかは、素人である僕にはわかりません。でも、こうした本を読むことで、少しでも「生きづらさ」が「楽」になる人がいるのであればいいな、と思います。