【天秤印】春日井弁護士雑記(旧名古屋・横浜弁護士雑記)

現在春日井市に勤めている元裁判官現弁護士が、日々感じたことなどを書いています。

アレルギー大学初級講座に行ってみました。

 土曜日は、家事といくつかの図書館を回ることで時間が過ぎてしまいましたが…。

 6月9日(日)は、先週に引き続き。

 アレルギー大学の初級講座を受けてきました。

  先週、基礎講座を受け、その後テキストなども読んでいたので、ある程度、アレルギーが発症する仕組みのようなものを、理解したつもりだったのですが…。

 今回の初級講座では、子どもの食物アレルギーは、それぞれの子どもごとに異なっていて、その子ども一人一人にどうやって対応していくかは、まさに、一人一人、親と医師と、他の関連職種の、ハンドメイド・オーダーメイドの対応になるのだな…ということが、わかりました。

 ことに、栄養指導は、上を言い出すと切りがないところもあるように感じました。ある食べ物(それも、卵や牛乳、小麦など)の栄養価を、他の食べ物で補うというのは、大変ですね…。

 アレルギー用ミルクの大切さも、少し呑み込めましたし、他の食べ物で補うことが大変であるからこそ、リスクを伴い、一般的に推奨されないものであっても、「食べられるようになる」治療法(経口免疫療法)が期待されるのだな…ということも。

 難しいですね…。

アレルギー大学基礎講座に行ってみました。

 6月1日には、プライベートで、認定NPO法人アレルギー支援ネットワークが開催しているアレルギー大学の基礎講座を受けてきました。

alle-net.com

 

 児童相談所がかかわるご家族の中には、アレルギーのお子さんもいらっしゃいます。

 これまで、アレルギーについてきちんと勉強したことまではなく、いくつかのセミナーを聞いたり、国のガイドラインなどを読んでみたものの、まだまだ知識が断片的だと感じていました。

 そうしたところ、名古屋には、認定NPO法人アレルギー支援ネットワーク

事務局があり、同団体が開催している「アレルギー大学」(本来の意味の「大学」ではありません。念のため。)が場所的に受講しやすいことから、この機会に是非受けてみようと思ったものです。

  とても充実した講座でした。非常に参加者が多く、開始時間15分ほど前に会場についたところ、すでに最前列の席までかなり席が埋まっていた事が驚きでした。

 内容的にも、基礎講座だけでも、医学的な側面からの「アレルギーの基礎」、保育園や家庭での食育という観点からアプローチした「食育とアレルギー」、食品表示についてまとめた「加工食品の表示とアレルギー表示」、栄養学の観点からの「アレルゲンの基本」など、医学的な側面だけではなく、複数の視点から、「(主に食物)アレルギーのあるお子さんをどう育てるか」という視点中心に講義がまとめられており、おもしろかったです。

 医学的な「アレルギーの基礎」だけでも、これまで読んでいたガイドラインや参加したセミナーだけでは知らなかった知識も含まれていましたし、「食育とアレルギー」は、子どもの「発達」と「食事」を結びつけるような内容で、とても面白かったです(この講座だけは、アレルギーを中心とした話ではなく、「食育」を学び、それをアレルギー時にどう適応させていくか、という話でした。いえ、「ごまごますりごま」ののりには少しついていけませんでしたが…)

 「加工食品の表示とアレルギー表示」は…。少しわかりにくかったですね…。いえ、法律がどういった観点で作られているか、はわかるのですが、それが「アレルギー対策だけのため」というわけではないことと、事業者側に課すことのできる制約に限界がある点が、悩ましい問題になっているのだろうと感じました。

 最後の、栄養学、「アレルゲンの基本」は…。正直、僕にはなかなか荷が重かったところはあります。これまで学んだり、読んだりしたものとは、一番距離があるものでしたので…。

 時間のある時に、テキストを読み直して、復習をしておこうと思います。

 それにしても、昨年一度通読した「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン」がもう改訂されていたとは、驚きでした。

 法律分野、児童虐待対応分野もそうですが、本当に、社会の変化が激しくなったな、と感じますね。

 

うしなわれた子どもからのメッセージ~次の命を救うための死亡事例検証会議~

 5月26日は、プライヴェートで、埼玉で行われた「うしなわれた子どもからのメッセージ~次の命を救うための死亡事例検証会議~」を聞きに行ってきました。

 演者の先生が、MLで知らせてくださったこともあり、今回のお話は聞いてみたいと思っていました。

 児童相談所に勤めていると、どうしても耳にする意見は児童相談所内のものが多くなり、独自の視点を失ってしまう可能性があると思っています。そのため、単に「流される」立場とならないためには、多の職種や外部機関の視点・意見を聞きに行き、定期的に自分を顧みる必要があると思っています。

 また、今回の演者の先生方は、平成27年から29年にかけて、厚生労働省の科学研究費補助金を基に、「地方公共団体が行う子供虐待事例の効果的な検証に関する研究」に携わられた方々で、僕自身も平成29年にされた報告会も聞きに行って、いろいろとアンケートに意見を書かせていただいたこともあって、その後どうなったのかは気になっていました。

 なにより、僕自身が児童相談所に来てみた理由・動機とも、少し関連がありました。

 過去の重大事例の検証報告書は、僕自身、いくつか読んでいますが、「では、この検証委員の先生方が現場にいたら、一体どうしていたのか」「では、自分がそこにいたらどうしていたのか」。そこがなかなか見えてこないというのが、個人的な感想でした。
 批判しているだけでは、「どうすればよいか」はわからない。だから、自分で児童相談所に来てみた、というのが、僕自身今の職場に勤めるそもそもの動機です(tただ、現実はいろいろと難しいことも多いですね…。)。
 似た悩みを持って行われていたのが、この厚生労働省での研究であったと思っていましたので、今回のイベントは個人的にも関心がありました。

 実際に聞いてみると、いろいろと得るところがありました。

 厚生労働省で行われた研究の成果として、「重大事例検証のためのガイドライン」の完成版がこちらのホームページにあることが分かりましたので、また、今読んでいる一群の書籍を読み終わったら、是非読んでみたいと思います。
 また、そのもととなった、厚生労働省の研究報告書についても、こちらにあるようなので、合わせて目を通したいな、と思っています。

 とはいえ…、今読んでいる、一連の書籍も、まだ何冊かありますし(遺棄帰りの電車で、一冊読めましたが…)、それが読み終わっても、また別のイベントに申し込んでいますし…。正直、児童相談所運営指針も、一度じっくり読みなおしたいと思っているのですが…。こうなってみると、きりがないところはありますね。

 焦っても仕方がないので、今、自分ができることをやることしかできないのですが。

 

統合的アプローチ研究会の設立大会を聞きに行ってみました。

ずいぶん久しぶりの書き込みですね…。

この間、読破した書籍などもかなりありますし、自分なりに調べた事項などもあるのですが。なかなか仕事に就くと、ブログに書くかどうかも、難しい判断を迫られますね。

5月12日は、「統合的アプローチ研究会」の設立大会を見に行ってきました。

integrated-approach.jimdofree.com

児相相談所と関わっている関連機関の方々などが、関わっておられましたので、関心をひかれて参加してみたものです。

実は、同じ日にメリデン版訪問家族支援入門研修もあり、どちらに行ってみようか、ちょっと迷ったのですが…(なぜこういう企画は重なってしまうのでしょう…)。

研究会の内容としては、対人援助に関わる多職種が、お互いに対話することで新たな考えの創造を目指すもの、ということのようです(間違っていたらすみません)。

隣に座られた方に伺ったところ、「統合的アプローチ」というのは、心理の分野でいま話題となっている一つの流れだとのことでした。

とはいえ、この方法で研究会を行っていくためには、参加する会員の自発的な活動がどれだけ活性化するかによるところが大きいため、なかなか、運営が難しいところもあるかな…と感じました。

 今日のお話を聞いた段階では、「法律家」の関わり方が、今一つ見えてこなかったところもあり、まだ入会はしていません。

でも、おもしろそうだな、と思っていました。

 

セミナー「アレルギーの基本から災害への備えまで」を聞いてきました。

 日曜日には、プライベートで、こちらのセミナーに参加してきました。

mhlab.jp

 保育園、学校と同じく、児童相談所や養護施設でも、子どものアレルギーについては知らなければならない問題の一つです。

 保育園に関するアレルギーガイドラインや、学校給食における食物アレルギー対応指針に目を通してはみましたが、まだまだ医学的な機序等、ガイドラインを読むだけではわからないこともありましたので、参加してみました。

 理解しないと、ガイドラインに書いてある内容なども、なかなか腑に落ちてこないので、どうしても、物事の機序を知りたくなってしまいます。

 …なにも、遠方に行かなくても、愛知県でも2月17日に以下のようなセミナーはあったのですが、愛知県のセミナーに気が付く前に、すでに3月10日のセミナーを申し込んでしまっていましたので…(愛知県のセミナーも、2月17日に参加してみましたが。)。

www.fujita-hu.ac.jp

 参加してみてよかったな、と思います。

 2月17日の愛知県のセミナーが、教育関係者向けであったのに比べると、今日の研修は、もう少し内容としても専門的なものでした。会場には、小児科医の先生などもいらしていました。

 それだけあって、最近になってアレルギーがなぜ増えたのかといった点についての仮説や、アトピー性皮膚炎が食物アレルギーの原因になっているのではないかという仮説など、いろいろと興味深い話を伺うこともできましたし、「血液検査の結果」がかならすしも食物アレルギーがあることを直ちに意味するわけではないことなども、その仕組みがいくらか分かってきました。

  でも、まだまだ知識が断片的だな、と思います。

 今回のセミナーで、いくつか存在を知ることのできた参考資料を、また印刷しましたので、折を見て読みたいとは思っていますが…。

 それとは別に、学術書というか、体系書のようなものがあれば、一冊読んでおきたい気もしますね(そういえば、あまり参考【文献】の紹介がないような…。論文や報告書などは、存在が分かったものは読んだりもするのですが。)。

 法律的な面については、自分の研究事項になりますが。それもまた少しずつ。

認知行動療法って?

1月12日と、2月2日には、「ここらぼ」でこの研修に参加してきました。

www.cbt-education.org

認知行動療法」という名前は、以前、家庭裁判所にいたときに、家裁調査官の方々から伺ったことがありました。

当時は、今一つぴんと来ないところがあり、むしろ個人的には「家族療法」に関心を持ったため、認知行動療法について調べることまではしませんでした。

しかし、その後、「アンガーマネジメント」や、「ペアレントトレーニング」の本を読んでいくと、どうも認知行動療法の考え方が取り入れられているのじゃないかな…と思われる個所が散見されましたし、認知行動療法という考えは行動分析学とも関連があるようなので、「一度何かの機会にきちんと書籍を読みたい」と思っていました(でも、ついつい後回しになっていました。)。

今回、ちょうど名古屋でこうした研修がありましたので、一度「ここらぼ」を見に行くことも兼ねて、申し込んでみたものです。

…7年間、弁護士として児童精神科の医師主催の症例検討会や、養護教諭の先生方やSSWの先生方の勉強会に出ていた横浜と違って、名古屋では、まず「子どもに関わる方々の地図」から書き始めないと、わからないところもありますから…。

 

聞くことができたお話は、とても興味深いものでした。

 

認知行動療法等のものについて、自分個人のイメージで表現すると…。

ものすごく簡単に言うと、「悲観し過ぎないようにする」「怒り過ぎないようにする」ということでしょうか。

…それだけ聞くと、そんなこと簡単だ、とか、日ごろやっていると思う人もいるかもしれませんが、そうでしょうか?(僕も、できているときとできていないときがありますね…)。

ただ、楽観的になればいい、考えなければいい、というのではありません。いろいろな危険のある現代社会で、楽観的であれば生きていける、考えなければ生きていける、というものでもないと思いますので。

「し過ぎない」というところが重要です。

「きちんと。深く考える」「だけれども、悲観のし過ぎや、怒り過ぎまではしない」

こうなるでしょうか。

 

自分の心を知ることは、結構難しいです。

「自分の目には見えない」ですし、「というか、自分自身だから」、わざわざ自分で「知ろう」とまではしない、のでしょうし…。

「悲観し過ぎるなと言われても、そういう気分になってしまう」ということも、あるのかもしれません。

でも、

①「あれ?、自分の気持ちが沈んできたな」「体の調子がおかしいな」と思った時に、

「なんでだろう?。何か心が疲れたのかな?。自分はどう『考え』たのかな?」

と遡って考えてみたり、

②腹が立った時に、ひとまず時間をおいて、冷静に考えられるようにしたうえで、「なんで腹が立ったのだろう」「自分はどう『考え』たのかな?」と遡って考えてみる

認知行動療法の考え方だと、いろいろな「出来事」と、自分に生じる「気分」の間に、自分の「考え」というものがはいっており、それを冷静に検討しなおすことで、「悲観のし過ぎ」「起こりすぎ」を避けることができる、ということのようです(素人なので、間違っていたらすみません。おそらく、学術的には不正確なのだろうと思います。この「考え」と簡単な書き方をしてしまったものが、こちらのサイトで書かれている「自動思考」というものだと思うのですが)。

 

今回の研修では、そうしたことを学校で子どもに教え、子どもたちに実際学校生活の中でそうしたスキルを試してもらうことで、子どもがよりストレスに強くなれる、困難に立ち向かうことができるようになるのではないか…という試みが紹介されていました。

どうしても家庭裁判所にいたころに認知行動療法を知ったこともあって、なにかトラブルが起きたときにその問題解決のために使う、という印象・イメージがありましたが、日ごろからそうした態度・思考のパターンを身に着けておけば、よりよいのはその通りだな、と思います。

う~ん、やっぱり、認知行動療法の本も、なにか読まないとなあ…と思いますね。専門分野以外だと、どの本がいいのかの見極めがつきにくいのが悩みの種なのですが…。

名古屋には、僕も参加できる研究会や勉強会みたいなものが、あるのかないのか、その辺がまだよくわからないのですが…。

「相談援助職の記録の書き方」【書評】

 この年末年始には、2冊の本を読みましたが、そのうちの1冊がこの本です。

www.chuohoki.co.jp

 面白い本です。ただ、児童相談所にそのまま使える内容ではないだろうと思うので、新人の方などにはお勧めし難いところがあるでしょうか。

 著者の八木亜紀子先生は、アメリカの大学でソーシャルワークを学び、その後もアメリカの現場で活動された方とのことです。そして、この本では、アメリカのソーシャルワーカーが記録を作成する際に注意していることや、具体的な方法が紹介された後、さらに、日本で各分野のソーシャルワーカーが記録を作成することを想定し、いくつかの分野について記載例(「悪い例」と「修正例」が比較できるもの)が載っています。

 そうした記載例の充実や、訴訟や個人情報といった視点にも触れてあることは、良い本だと思います。

 ただ、ソーシャルワークは、多種多様な社会福祉の場面で行われ、場面ごとに期待される・果たしている役割が異なるものです。ですので、その特定分野の記録作成について書かれた書籍があれば、その特定分野のソーシャルワーカーにはそちらの方が役に立つことは、ありうると思います。

 そして、この本に書かれている内容は、児童相談所向けの記載とは言えないように思います。

 多くのソーシャルワークに見られるように、相談に対して本人が適切に支援を「選択」できるよう援助する(ケアマネジメント的)という役割ばかりではなく児童相談所においては「児童虐待」あるいは「不適切な養育」という問題への対応(立入調査等や裁判といったものも含めて)が強く求められていますので…(そうした、児童相談所に対応した記載箇所はありませんでした)。

 また、アメリカと異なり、日本においてはソーシャルワークにおける裁判例の蓄積がそれほどあるわけではありませんので、この本に書かれている個人情報や訴訟の視点についても、日本ならばこうなるのでは?、という、筆者の推測によるものであって、確たることは言えない部分もあります。

 とはいえ、こうした本を読むと、『自分ならどうするか』を考えさせられるので、とても有意義でした。また、改めて他のソーシャルワーク児童相談所がやらなければいけないこととの「違い」を認識することもできました。

 なかなか、『自分ならどうするか』の考えが、すぐに固まるわけではありませんが…。