【天秤印】横浜弁護士雑記

横浜で弁護士をしている元裁判官が、日々感じたことなどを書いています。

「まず大人が幸せになって下さい。そうすれば子どもも幸せです。」:埼玉の事件報道に接して思うこと

埼玉で,痛ましい事件が起きてしまいました。 headlines.yahoo.co.jp つい先頃,川崎市でも痛ましい事件でこどもの命が失われ,教師や福祉関係者,そして弁護士も「何故この事件を防げなかったのか」「どうしたらこうした事件を防げるのか」を議論していた,…

アディクションと加害者臨床【書評】

さきのブログで書いたように、小林桜児先生の話を聞いて、すこし【依存症】というものについて知りたく思い、通勤電車の中でこの本を読んでいました。 藤岡淳子編著「アディクションと加害者臨床」(金剛出版2016) 金剛出版さんの本は,家族療法リソー…

【刑の一部執行猶予】(薬物)依存症への取り組みとして

歌手の薬物事件について、「懲役1年6月、うち4月を2年間の保護観察付き執行猶予(求刑・懲役2年)」との判決が言い渡されたという報道が、少し前にありました。 報道を目にされた方の中には、「『うち4月を2年間の保護観察付執行猶予』ってなんだろう…

定年後再雇用と労働契約法20条(その5:平成28年5月13日東京地裁判決についての思いつき②)

前のブログを書いてから,随分経ってしまいました。 yokohamabalance.hatenablog.com 前のブログでも、結局、【考え方の糸口】を書いてみただけで、そこで一度力尽きてしまっていたのですが…。 しばらく他の仕事などをしているうちに,またいろいろ考えが沸…

定年後再雇用と労働契約法20条(その4:平成28年5月13日東京地裁判決についての思いつき)

う~ん,なるほど。そういうことなのか…。少し,頭が整理されてきた気がします。 先の,6月26日のブログの「2(1)」で, yokohamabalance.hatenablog.com 1(4)で触れたように、「65歳定年」として同じ「期間の定めのない社員」となれば、60歳…

JILPT「高年齢者の雇用に関する調査」(定年後再雇用と労働契約法20条追捕)

独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT)から、「高年齢者の雇用に関する調査」が発表されました。 調査シリーズNo.156「高年齢者の雇用に関する調査(企業調査)」|労働政策研究・研修機構(JILPT) 平成27年7月17日から7月31日にかけて行わ…

定年後再雇用と労働契約法20条(その3:平成28年5月13日東京地裁判決についての感想)

前のブログで紹介した、平成28年5月13日東京地裁判決について、感想めいたものを含めて、続きを書いてみたいと思います。 判決内容の紹介等は、前のブログを見ていただければと思います。 yokohamabalance.hatenablog.com まず、判決を読む際の注意点に…

定年後再雇用と労働契約法20条(その2:平成28年5月13日東京地裁判決の紹介等)

以前,ブログでも書いた,平成28年5月13日東京地裁判決を読んでみました。 まだ,判例雑誌等にも載っていないと思いますし,裁判所のHPにも掲載されていませんでしたが,判例検索システムのウエストロー・ジャパンには掲載されていました。 しかし…、…

再婚禁止期間の短縮(6箇月から100日へ)

1 はじめに 「民法の一部を改正する法律」が本日成立したようです。 ●民法の一部を改正する法律案 具体的に、従来の民法の定めと何が変わったかと言うと、以下のようです(削除等されたところは取消線、追加等されたところは赤色で書いてみました。)。 (…

定年後再雇用と労働契約法20条

今朝、新聞を見てびっくりしました。 headlines.yahoo.co.jp …いえ、取っているのは読売新聞なのですが。 労働契約法20条を根拠として、定年後の期間雇用社員が正社員と同じ業務に従事しているにもかかわらず、賃金に差があることを問題とした判決が出たよ…

成年後見に係る法改正(その4)-成年後見の事務の円滑化を図るための民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律について

1 成年後見の死後事務と金融機関の扱い (1)口座名義人がお亡くなりになったときの,金融機関の扱い さて,(その3)では,成年被後見人の債務(相続債務)を返済することを始め,さまざまな出捐を伴う死後事務について触れましたが,これらの行為も,そ…

成年後見にかかる法改正(その3)-成年後見の事務の円滑化を図るための民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律について

何度か「成年後見の事務の円滑化を図るための民法及び家事事件手続き法の一部を改正する法律」について書いていますが,疑問を持っていたにもかかわらず、自信がなかったために書くのを避けてきたところがあります。 それは,以下の条文(民法)に関連する事…

成年後見に係る法改正(その2)-成年後見の事務の円滑化を図るための民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律について

実のところ、前のブログに書いた内容以上のことについては推測できる資料が少なすぎたので、書く気が無かったのですが、他の弁護士の先生と少し話していて、関心ができたこともありましたので、それについて、少しだけ追記します(もう少し続くかも?。☞ひと…

成年後見にかかる法改正(成年後見の事務の円滑化を図るための民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律)

標記の法律が、可決されたようです。 衆法 第190回国会 20 成年後見制度の利用の促進に関する法律案 以前、「通知カードが転送された時に、成年後見人が開封してよいのか」という問題を書いた際に、触れた法律案すが、このたび正式に成立しました。施行はま…

後見人とマイナンバー(その3:マイナンバーが必要な主な事務)

委員会の関係で、後見とマイナンバーの整理を担当することになりましたので、それに関連した内容を。 1 後見人の業務の中で、マイナンバーを取り扱うものは?。 この質問、聞かれることあるんですよね…。 とはいえ、後見人は、被後見人の持つ権利のうち、一…

認知症高齢者の鉄道事故について

1 平成28年3月1日最高裁判決について 認知症の高齢者が徘徊していて、駅構内の線路に立ち入り鉄道事故となってしまい、鉄道会社が親族に監督責任等を問うていた事件について。 最高裁判所の判決が出ましたね。 今は一時的にこちらに掲載されているよう…

マイナンバーは危険なのか(その3:詐欺・消費者被害を少なくするために)

1 はじめに マイナンバーに関して、詐欺等の電話がかかることが続いているようです。 以前、タウンニュースの取材をいただいた時にもお答えしたことですが、個人的にはこれが一番懸念していたことなのですよね…。 なぜこういったことが起こるかと言うと、①…

マイナンバー:紛失・漏えい時に行うべきこと(本人)

これまでで、マイナンバーに「なりすまし」や「情報漏えい」などについての【大きな危険】まではないのではないかということを書いてきました。 yokohamabalance.hatenablog.com とはいえ、「個人番号カード」や「通知カード」を紛失したり、マイナンバー自…

マイナンバーは危険なのか(その2:情報漏えいの危険)

お久しぶりです。 年末・年始から、少し自分を見失ったような感じで、気力を無くしてしまっていました。すみません。 以前、マイナンバーの危険性の一つである、「なりすまし」について書いてみましたので、今度は「情報漏えいの恐れ」について書いてみたい…

マイナンバーは危険なのか(その1「なりすまし」の危険)

ご無沙汰していました。 やはり、懸念していた通り、マイナンバーによる詐欺被害なども生じているようです。 マイナンバー制度に便乗した不審な電話等にご注意ください!(注目テーマ)_国民生活センター こうした詐欺被害の背景には,マイナンバー制度のわか…

少年事件

ご無沙汰しています。 受任している事件以外にも,専門実務研究の論文や マイナンバーセミナーの講師などで時間を取られ,長らくブログを更新していませんでした(年内はなかなか滞ってしまうかもしれません。)。 通勤電車で読書はしており,感じたことを書…

マイナンバーを第三者に保管・収集させる場合(企業法務とマイナンバー:こぼれ話)

※ 申し訳ありません。10月19日に一部(ポイント②)を書き直ししています。 ご無沙汰してしまってすみません。このところ、少し立て込んでいたこともあり…。 しかも、久々に書いてみれば、「企業法務とマイナンバー」の「本話」をすっぽかして「こぼれ話…

マイナンバーと消費者被害・詐欺

以前、タウンニュース港北版の記者さんに聞かれたとき、マイナンバー法の弊害として、①個人を特定する確実な手段ができることによるプライバシー侵害の危険が高まること、②なりすましの恐れがあるかもしれないこと、③マイナンバー法自体の理解が及んでいない…

マイナンバーと裁判:追記

以前、「マイナンバーと裁判」という題で、マイナンバーが記載された源泉徴収票を裁判で証拠として出してよいかについて書きましたが、その後、国税庁のほうで、会社が本人に交付する源泉徴収票には、個人番号を記載しなくてよいこととしてくださったようで…

マイナンバーの書式について(厚生労働省分野)

近日中に、企業向けのマイナンバーセミナーを担当するので、そのパワーポイントの準備をしていたのですが…、 そうしたところ、以前「高齢者とマイナンバー」でも触れた、介護保険を含む、厚生労働省が所管する各種社会保障手続きについての、省令が、9月29日…

社会保険の実務相談【書評】

www.shakaihokenroumushi.jp 以前のブログで,転籍・出向とマイナンバーとの関係を書いた際に,少し引用した本です。マイナンバーの関係で3分の1に目を通したため,「どうせなら」と少し前に通通読しました。 1 社会保険についての知識の身に付け方 社会…

「毒になる親 一生苦しむ子供」【書評】

『毒になる親 一生苦しむ子供』(フォワード,S., 玉置悟):講談社+α文庫|講談社BOOK倶楽部 随分前に目を通した本ですが,マイナンバーにかこつけて書く暇がなかったので,このあたりで紹介を。 「児童虐待」を受けた経験があり,その「児童虐待」を受…

高齢者とマイナンバー(試論:後見人とマイナンバー追記)

「後見人とマイナンバー」、「【続】後見人とマイナンバー」などに少し重なるのですが。委員会業務の関係で振られた話題ですので少し。 先日、新聞記者の方から、「身寄りのない高齢者などは、どうやってマイナンバーを使うのか。マイナンバー制は身寄りのな…

親権者が、子供の個人情報を取得する場合

少し経ってしまいましたが、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律(いわゆる「行政機関個人情報保護法」)あるいは地方自治体の個人情報保護条例に基づいて、親権者等が子供の個人情報を取得する場合について、書いてみたいと思います。 「親権者」…

居所登録制度について(ドメスティックバイオレンス(DV),児童虐待等の被害者と,「マイナンバー」のその後)

以前、「ドメスティックバイオレンス(DV),児童虐待等の被害者と,『マイナンバー』について、3回ほど書いてきましたが、【居所登録制度】が開始され総務省のホームページでその内容が明らかにされたことで、【一区切り】ついたように感じて、しばらく遠ざ…